第9話 石版と会話の詩
そろそろタイトル考えるの大変になってきました。
―しばらくして、マリア学院長は1枚の紙と前に手を置いたものより一回り大きめの石版を手に戻ってきた。
「お待たせしてごめんなさいね。」
「いえ。・・・その手に持っているものは何ですか?」
「これは、先程の石版よりも遥かに大きい容量を持っているため、先程の石版で測りきれなかった魔力量の方も測れるようになっています。そして、これは魔力を扱う器も測ることもできます。」
「この上に手を置けばいいですか?」
「えぇ、では置いてみてください。」
私が手を置くと、一瞬部屋を眩い光が満たす。
しかし、今回のそれは瞬きする間もなく消えた。
「・・・これでもダメなのかしら。それなら、もう測るものがなくなってしまうのだけど。」
「・・・・・・」
「もうこれは直接宮殿に―」
「あ」
「どうしたのですか?」
「あの、石版の近くに置いてある紙に何か書いてあるのですが・・・」
「・・・本当ですわ。確認して見ましょう。」
そう言ったマリア学院長は、ゆっくりと紙に近づいていく。
その紙には、こう書いてあった。
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ユーカ=ロレイン
Age : 5
HP : 160
MP : 210
属性 : 水 土 光
ジョブ : 勇者
職業 : 勇者
称号 : 祝福を受けし者 魔法の申し子 聡明
固有スキル : 鑑定 双神の守護
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今のこの子のステータスは測れるけど、多分卒業する時は俺割れるから、直接宮殿行って測ってね。 By石版
・・・あれ、ちょっとだけHPとMPが増えてる。
ふと横を見ると、口をポカンと開けているマリア学院長が見えた。
「あの、マリア学院長?どうかされましたか?」
「・・・はっ!い、いえ、なんでもありません。HPは平均ですが、MPは素晴らしい。ただ、この石版にはステータスを全て測る機能は・・・」
すると、紙が光り輝き始めた。
淡い光を帯びたそれは、まるで魔法のようにマリア学院長の手元を抜け、私の手元へと飛んできた。
私が手を出すとふんわりと着地したその紙を覗き込んだ私は驚いた。
「え、これって・・・」
そこには新しく、
「元からあったけど魔力供給がないから普段出ねぇんだよ!」
・・・とあった。
いや石版口悪っ。
「・・・どうして急にこんなことが?」
「あの、マリア学院長、これ・・・」
「あら、先程と変わった所は無いわね・・・本当にどうしたのかしら・・・」
「え?」
「・・・ユーカさん?どうしたのですか?」
「・・・ここに新しく文字が増えてるじゃないですか。」
「・・・え?どこに?」
もしやこの文字、私にしか見えないのではないか。
だとしたらなんて厄介なんだろう。
「あの、私のステータスの下に・・・」
「・・・私には見えないわ。なんて書いてあるの?」
「はい、えーっと、『元からあったけど魔力供給がないから普段出ねぇんだよ』と・・・」
「それはその石版に書いてあるのをそのまま読んだのね?」
「はい。・・・あれ?」
さっき読んだ文の下にまた文字が増えてる。
「『どうやらお前にしか見えないみたいだな。これが見えるってことは、お前、相当魔力持ってるだろ。・・・そう言えばさっき210とか言ってたっけ。じゃあお前一般的な冒険者と同じくらい持ってんだな。しかも勇者かよ。道理で魔力の質が良いわけだ。』」
突然現れた文字を読みあげる。
マリア学院長は、一瞬目を見開くが、直ぐに私の声に耳を傾ける。
私はそのまま読み続けた。
「『まぁ編入生はよくいじめられやすいって言うけど、お前なら直ぐに馴染めるだろ。まだ5歳だし・・・え!?まだ5歳!?嘘だろ!?・・・まぁ頑張れよ。なんかあったら俺も話聞くし。卒業するとき、お前がどうなってんのか期待してるぜ。じゃあな!あ、俺の名前はオクトってんだ。なんかあったら学院長の部屋にいるから呼べよな!』・・・だそうです。」
「あら、石版さんは随分とお口が悪いのね。しかもオクトって記憶の神の名前じゃないかしら?・・・まぁ、同名なだけよね。OK、ステータスは素晴らしいわね。では学力試験にしましょう。問題量は少ないけど1問1問が難しいので、頑張ってください。」
「はい!」
そう言いながら私は笑顔を見せた。
よし、頑張るぞ!




