第12話 王様と結果の詩
日本から旅立つ前最後の更新!!
(また遅くなってごめんなさい!!)
顔を上げた私を待ち構えていたのは、「王」というよりも「王子」「皇子」という言葉の方が似合いそうな男性だった。
私は、王様というのは「白髪で髭が長くて腰が曲がっていて険しい目をしていて、フォッフォッフォッ、みたいな笑い方をする」人だと思っていた。
しかし。
綺麗に整えられた金髪。優しそうで、それでいて芯の通っているような澄んだ蒼い目。爽やかな笑顔。
まさに、前世にこういう人がいたら絶対モテるだろうなぁ。というような感じだ。
私が思っていた「王」というイメージのほとんどをぶっ壊したその人は、私を見て、
「よく来たな、ユーカよ。・・・しかしまぁ、5歳だとは聞いていたが、もう少し大きいと思っていたぞ。」
だって私、5歳ですから!
「それにしても、さっきの挨拶は凄かったなぁ・・・僕に跪く5歳児なんて初めて見たよ・・・ぷ!ククッ!だめだ、思い出したら笑えてきた!あははははっ!」
それに対してマリア学院長は、
「まぁ、ユーカさんは賢いですから、私の真似をするくらいは訳ないでしょうね。」
と苦笑した。
「そうかー。それにしても、5歳児にしては明らかに知能が高いな。その気になれば僧侶とか賢者にもなれるんじゃないか?」
え、転職って出来るの?
そんな私の顔をみたマリア学院長がそっと説明してくれた。
「ある一定のところまでその職を極めると転職が出来るのですよ・・・勇者は出来ませんけど。」
「あーでも今の時点で職業勇者だったら、きっと5歳の職業賢者とかになってもおかしくないのかー。・・・うん、それは気持ち悪いな。まだ勇者でよかったー。でも賢者にも向いてるからなー。」
「それでしたら、魔王討伐したらユーカさんを賢者にするのはどうでしょうか。まぁ、ユーカさんの意思次第ですが。」
「おお!マリアよ、それは良い案であるな!よし!ユーカよ、そなたが魔王を倒した暁には、英雄の称号だけでなく、大賢者の称号も与えてしんぜよう!」
・・・王様、マリア学院長、2人とも何を言っているのでしょうか。
魔王は5人ぐらいのパーティーで倒すのが前世のゲームとかの定石だったりしません?
私そこまでゲーマーではなかったですけど、それくらいは知ってますよ。
そして出会うであろうパーティーメンバーの中に「賢者」とかいた気がするんですけど。
この世界だと「ある特殊な魔法(私は知ってる)」しか使えないらしい賢者さんだけど、多分知恵とか知識とかがあるから「賢者」って言えるわけで。
・・・あれ?ちょっと聞いてみよう。
「あの、国王様、いくつか質問をしても宜しいでしょうか?」
「おう!何だ?」
「あの、魔王って、私だけでなく、何人かと集まってパーティーを組んで倒すのですよね?」
「もちろんだ。どんな強者でも1人で倒すのはあまりにも無理がある。まぁ多分、多くても6人だろうがな。」
「では、その中に、『賢者』の人はいますか?」
「あぁ。普通の賢者は魔法がほとんど使えないが、魔王討伐に参加する賢者は特殊な訓練をしていてな。一応、上級魔法までは使えるようになっているはずだ。」
「では、例えば私のパーティーが魔王を討伐したとして、そこに賢者が入っていれば、どうなりますか?」
「どうって・・・『大賢者』のしょうご・・・あ!」
王様、やっと気づいたみたい。
「そうか、もしユーカのパーティーに賢者がいたら、大賢者が2人になってしまうのか。これは誤算だったなぁ・・・ユーカ、本当に5歳か?絶対に知能が高すぎるだろ・・・本当は100歳超えてたりしないのか?」
「いえ、私は至って普通の5歳ですが。」
「それ5歳児が言う言葉じゃないんだが・・・」
まぁ、前世から数えると20歳越えてますし。
「まぁよい。それで、今日はユーカの入学試験の結果の話をするために呼んだんだよな。」
「えぇ。こちらがユーカさんの入学試験結果です。」
マリア学院長が私の試験結果が書かれているであろう紙を王様に渡す。
「・・・なるほどな。さすが、と言うべきか、やはり、と言うべきか・・・」
え、何?私、何かやらかしました?
「まさか、魔力が測定不能寸前、筆記が満点とは・・・ユーカよ、このテストを受けてみた感想は何かあるか?」
え、いきなり私?しかも感想?
「感想ですか・・・うーん、特にはないですけど、強いて言うなら1番最後だけちょっと難しかったぐらいですかね。」
それを聞いた王様とマリア学院長は驚いてしまった。
「1番最後と言うと・・・毎年出されている『アレ』だろう?それが、『ちょっと難しい?』で済むだと・・・?」
「『ちょっと』ですか・・・。これは、さすがに私も予想外です。私でも解くのに1時間はかかるので。」
「マリアでもか・・・。とすると、ユーカは2時間ぐらいかかったのか?」
「いえ、テスト全てが1時間かからずに終わっていたと思います。最後の問題も10分足らずで解いていたかと・・・」
「・・・は?マリア、それは本当か?1最初の方の問題なら1問10分で解けるが・・・」
「本当です。最初の方の問題など、1分で5問くらい解いていましたから。」
・・・王様ー、マリア学院長ー?2人でこそこそ話して、どうしたんですか?
「・・・おっと、ユーカを置いてけぼりにしていたな。単刀直入に言おう。ユーカ、本当に本当に5歳児なのか?」
「はい。先程も申したはずですが・・・」
「いや、わかっているのだ。だが、だとしてもこれはありえない。10問合っていたら1番下のクラスでも余裕で合格レベルだぞ?それが全問正解だぞ?疑いたくもなるじゃないか!」
え、全問正解?
・・・まぁ、割と簡単だったしな。
「僕だって1番最初の問題・・・1+1か。を解くのに10分以上かかるんだぞ!?どうやって解いたんだ?まさか『勘』とか言わないよな?」
逆にどうやって勘で解けと。
「まず、指を1本立てます」
「おう」
「次に、もう1本指を立てます」
「ああ」
「これで、指1本+指1本なので、1+1と同じ意味になります」
「ああ、そうだな」
「今、指は何本立っていますか?」
「2本だろ。馬鹿にするな。さすがにそれくらいはわかるぞ。」
「もちろん、わかると思ってお聞きしていますから。そして、この『2』というのが問題の答えとなります。」
「ん?・・・なるほど、そうか!確かに、これなら早いぞ!!」
まぁ、私はこれ使って解いてませんけどね。
「これなら、答えが20以下のものなら簡単にできますよ。」
「20?なぜだ?」
「人の手は指が10本、足にも10本、合計で20本ありますから。」
「おお!ユーカ、本当に頭がいいな!・・・学院の勉強、いるか?」
「はい、私はまだ魔法の使い方を知りませんので。」
「・・・そうか。しっかりと学んで、さっさと魔王を倒して、早く賢者になって、僕のために働いてくれ!」
「・・・はい。」
あ、賢者になるのはもう既定路線なのね。




