庭子、トリコプターで逃げる
水泳の話の続き――
無理やりトリコプター乗り込む庭子。
何も考えずにボタンを押した。
ぐぐぐぐ・・・・トリコプターが急に浮き始めた。
以前のモノコプターの雉くんと違って、体が回ったりはしない。
充電していたプラグは、ポーンと抜けた。
今や、トリコプターは、みるみる上がっていく。
庭子「やい飛んできてみろペンギンーーフガ」
Pen(ペングヰン)「だから、『ン』を伸ばすなってばペンペン」
・・・・
するとどうだろう、庭子が乗ったトリコプターが、
上がったり下がったり、上がったり下がったり、波状飛行を始めた。
ヒヨドリやセキレイなら波状飛行をするが、鶏が波状飛行をするのは珍しい。
「あぁああぁああぁああぁああぁああぁああぁああぁああぁああぁあ・・・
どうやって操縦するのーぉ、フガ?」
どういうことなのか、ここで解説しよう。
トリコプターは、安全装置のボタンを押すとローター(回転翼)が回り、
ボタンから離すとローターが止まる。
ローターが回転すると、勢いよく空に舞い上がるが、
その力が強すぎて、どんどん空の上のほうに上がっていってしまう。
あんまり空の上のほうに行ってしまうと困るので、
ボタンを離すと急に下降してしまう。
これの繰り返しで波状飛行しているのである。
大鷹野鷹子「これは危険だキッキッ」
「あぁああぁああぁああぁああぁああぁああぁああぁああぁああぁあ、フガ」
飛行がうまく行かなくて、
庭子の乗ったトリコプターは手賀沼の水の上に・・・
ボッチャーン、水に落ちてしまった。
トリコプターから投げ出されて、水に落ちてしまった。
大鷹野鷹子「に、庭子ちゃんっ、今、助けに行くからっキッキッ」
・・・
庭子は水に浸かってしまった。
沈むぅ・・・・って思ったら、
あれっ? 水に浮くではないか。
「おっ、これは浮くじゃないかフガ」
浮力の原理が働いたんだ。
大鷹野鷹子「庭子ちゃん、脚ばたばたしてっキッキッ」
庭子「あ、動く動く、フガ」
このようにして庭子は、自分が泳げることがわかった。
おっおっおっ・・・
庭子が泳いで来た。
そして、『ただ高』の島に上がってきた。
・・・
ちなみにトリコプターは、多分、別の鳥が拾い上げたと思う。
あと、庭子が羽を乾かすのは、鵜みたいに翼を広げてゆらゆら揺れながら、『魅せられて』という歌を歌いながら、乾かした。




