南極から来た留学生
教室にて――
スズメ先生「では、今回の中間テストを始める前に、
転入生を紹介しようチュン。
南極から来た留学生だチュン。
お父さんが昭和基地に現地採用された縁で休みの間だけ日本に短期留学することになったチュン。
みんな、何か質問あるかなチュン」
留学生は、背中が黒っぽくて、おなかが白っぽい、よく南極に住んでいる鳥だ。
鶏庭子「あ、ペンギンだフガ」
雉「日本語、通じるかなケンケン」
大葦切「南極語ってあったっけか行行子」
雉「南極語じゃなくて、南極1号なら知っているけどケンケン」
大葦切「雉くん、いやらしい行行子」
鵯「何がいやらしいのか分からないけど、南極1号っていうのは、胡瓜の品種だよピーヨ」
大葦切「胡瓜だなんて、ますますいやらしい行行子」
大鷹野鷹子「話を戻すけど、やっぱり、こういうときは英語を使わないとキッキッ」
大葦切「誰か英語しゃべれよ行行子」
燕「しょうがないなチュピ。国際色豊かな渡り鳥の僕がしゃべってみるよチュピ」
庭子「あれっ、燕くんは渡り鳥じゃなくて、越冬つばめじゃなかったっけフガ?」
燕「えっへん、您 是 企鵝 嗎、チュピ?」
鵯「それって、英語、ピーヨ?」
燕「間違えた、チャイニーズだったチュピ」
雉「あ、Are you a pen ケンケン?」
大葦切「ちょっと待て、鳥に向かってpenは失礼だろ行行子」
ペングヰン(南極から来た留学生)「ペンじゃないよペンペン。ペングヰンだよペンペン」
雉「なんだ、日本語しゃべれるじゃないかケンケン」
ペングヰン「日本語は、日本の南極の基地で働いているお父さんに教えてもらったんだペンペン」
鵯「ペンギンくんは、・・・」
ペングヰン「発音が違うペンペン。僕の名前はペングヰン、ペンペン」
庭子「ペンギンーー、フガ?」
ペングヰン「『ン』を伸ばされても困ってしまうペンペン」
スズメ先生「ペンギイィーン、チュン?」
ペングヰン「先生までそんな発音してペンペン。ペングヰンですってばペンペン」
鷹子「ペンギィーン、キッキッ?」
ペングヰン「違う、ペングヰンですペンペン」
鷹子「では訊くけど、ヰっていう文字はなんて読むのキッキッ?」
ペングヰン「ヰは『キーウィー』の『ウィー』っていう発音をするんだペンペン。キーウィーっていう鳥は知っているよねペンペン?」
雉「ペンギキーウィー、ケンケン?」
ペンギキーウィー?
庭子の頭の中にはこんな絵が浮かんだ。
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ペングヰン「違うペンペン! まあ、しょうがないなあ、みんなには発音が難しいかもペンペン。Pen(ペン)っていう愛称で呼んでほしいペンペン」
雉「なんだ、結局Penでいいのかケンケン」




