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電磁波ひかり

7月と言えば七夕(たなばた)だ。


・・・


我が流山(ながれやま)市の「(うん)()」という駅は、()()市との境界近くにある。

運河駅で下車して、橋を渡って(勿論、空を飛んでもいいが。)野田市に入ると、

「電磁波ひかり」という名前の宗教法人(?)の本部と、

トーリ大学という日本でも有数な理科系の私立大学の野田キャンパスがある。

このキャンパスには、お()(こう)さんたちが通う理工学部がある。


「電磁波ひかり」は、電磁波である光を神聖なものとして(あが)めている。

ちなみに電磁波とは、可視光線とか、電波とか、X線とかをまとめて呼ぶ呼び方である。

「電磁波ひかり」とは、(どこぞのナントカの科学と比べても)なんと科学的な名称だろうか。


この宗教法人(?)の本部には、大きなお城がある。

夜には、彼らが神聖なものとして崇める光によって、ライトアップされる。

「今日は、500ナノ(注)くらいでライトアップしましょうか、ガォ」なんてやっている。なんと科学的ではないか。


「電磁波ひかり」の隣にあるトーリ大学では、

夜には天体観測が行われる。

是非5日後に迫った七夕(7月7日)の夜には、天体観測のイベントを行いたいと思っている。

しかし、「電磁波ひかり」の城をライトアップしている光が天体観測を邪魔する。


トーリ大学の学生であるスズメが「電磁波ひかり」に抗議に行ったところ、

今日、7月2日は「電磁波ひかり」の御聖誕祭(注)だとかで

参拝者を案内するためだとかで、

(しろ)(しょう)(ぞく)をまとった真っ白な2羽の鳥が道に出ていた。


彼らは、「電磁波ひかり」の職員である(だい)(さぎ)とその部下の()(さぎ)である。


大鷺「ならばよかろう、ガガガ。

 これから光に関する問題を我が小鷺くんが出すガガガ。

 3問出すが、3問とも正解できたらあなたたちの言うことを聞いてやろうガガガ」


小鷺「第一問、虹の(ふく)(こう)は、赤が内側、紫が外側となっているガォ。では、(しゅ)(こう)は、内側と外側のどっちが紫、ガォ?」


小鷺「第二問、光の真空中の速さは、およそ30万キロメートル毎秒であるガォ。では水中の光の速さは真空中の光の速さより速いか遅いか、ガォ?」


小鷺「弟三問、紫の光と赤い光はどちらが波長が短いか、ガォ?」


スズメ「うぅぅぅ、悔しい、わからないチュン」


(だい)(さぎ)「なんだなんだ、トーリ大学ってのは日本を代表する理科系大学ではないのかガガガ。

光のことを何も知らないじゃないかガガガ。

来年また、出直して来いガガガ」




――――

【注釈】

「ナノ」:ナノメートル。10億分の1メートルを意味する長さの単位。ここでは、「そのくらいの波長の光でライトアップしましょうか」という意味。


「御聖誕祭」:はっきり言って、なんの御聖誕だか知らない。

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