おふろ
「庭子、お風呂に入りなさいホゲ。」
「うんピヨ」
この世界は気をつけなくてはいけない。
人間の世界と似てはいるが、ところどころが違う。
何しろ、体温は42度が平熱とか、冷蔵庫の中にあるのはみみずかもしれないのだ。
まったく違えばただそれだけだが、ところどころ違うから困惑してしまう。
お風呂といわれたときに自分が想像する「お風呂」がこの世界にあるなんて思ってはいけない。ドラム缶風呂かもしれない。カラスの行水なんて言葉もあった。
常に想定外を想定しなくてはならない。しかし、想定した段階でそれは想定内となってしまう。
お風呂場と思われる場所を覗いてみた。
公園の砂場のような場所だ。四角く囲われた場所に砂が入っていた。
そして、ご丁寧に小さなスコップもあった。
・・・
うーんこれはどういうことだろう。
砂遊びでもするということ?
そうだ、あれだ。
これは砂風呂というやつだ。
誰かが砂をかけてくれるんだろうか。
そんなわけないか。
ってことは砂浴びだ。
・・・
庭子はスコップで砂をすくって体中(体じゅうの羽)に浴びせた。
いやあ、これは気持ちいい。
砂がざらざらして、体の羽毛の中を通っていく。
・・・いつ人間に捕まえられるかはわからないけど。