鷺たち――3辺の長さから三角形の面積を求める公式
鷺のコロニーにて―――
蒼鷺「しっかし、この前は、
ずんぐりムクドリという変なデブ女が現れて、
散々だったゴア。
相手がアホなキジカモ類だけなら詐欺がうまく成功するんだがゴア。
ところで、例の鶏庭太郎は、最近どんな様子だゴア」
五位鷺「娘の庭子と中生代について語り合っているようですグワ」
蒼鷺「親子で中生代のロマンを語る、なんて頬笑ましいことだろうゴア。」
五位鷺「何か皮肉っぽいですねグワ。」
蒼鷺「まあ、中生代がらみで詐欺を思いついたが、・・・ゴア。
それをやる前に、ちょっとした小遣い稼ぎをしようゴア。」
五位鷺「小遣い稼ぎですかグワ?」
蒼鷺「そうだゴア。
天下り式(注)だが、
三角形の3辺の長さから面積を求める公式を紹介するゴア。
3辺の長さが a, b, c である三角形の面積Tは、
T=√{s(s-a)(s-b)(s-c)}
但し、s=(a+b+c)/2
という公式だゴア。」
五位鷺「ここだけの話、今、式のところを読まなかったですよねグワ。」
蒼鷺「いや、別に式自体はなんでもいいんだゴア。
要は三角形の3辺の長さから面積がわかるっていう公式だゴア。」
五位鷺「ちょっと内容が高度すぎやしませんかグワ。
もし我々の会話が物語になっていて、誰かが読んでいたら、このページを飛ばすと思いますよグワ。」
蒼鷺「大丈夫、アホなキジカモ類以外はみんなわかるから、安心しろゴア。」
五位鷺「ところで、三角形の面積と小遣い稼ぎがどう関係あるんですかグワ。」
蒼鷺「いや、別に関係ないゴア。式自体どころか内容もなんでもいいんだゴア。」
五位鷺「天下り式に公式なんて紹介して、なんだか無責任ですねグワ」
蒼鷺「ところで、この公式を使用するには、
我々への著作権料支払いが必要だゴア。」
五位鷺「い、いや嘘でしょうグワ。
定理や公式を使うだけで著作権料を払う必要があるんなら、
ピタゴラスの定理とか、三角関数の2倍角の公式とか、定理とか公式が出てくる度に
大変じゃないですかグワ」
蒼鷺「そうだ、その通りだゴア。
公式を使用するときにいちいちお金なんて払う必要があるなら、
数学の授業の前に小銭を用意しておかなければならなくなってしまうゴア。
・・・
でも、キジカモ類はバカだから、我々がそういうことを言えば、ついそんな感じがしちゃうんだゴア。」
五位鷺「てことは、またキジカモ類を相手に詐欺をやろうということですかグワ。
我々は世間からサギラックと呼ばれてしまいますグワ。
某団体から、『本当のサギラックは我々なんだ』と苦情が来るかもしれませんグワ。」
蒼鷺「俺たちが本当の鷺なんだがゴア。
だから俺たちが本当のサギラックなんだと言おうゴア。
ちなみに、今回紹介した公式はヘロンの公式というんだゴア。」
五位鷺「別に、公式の名前なんてどうでもいいんじゃないんですか・・・グワ」
蒼鷺「で、ここからが佳境だゴア。
今回持ち出したのが、正弦定理でもなく、乗法公式でもなく、ヘロンの公式である理由だが・・・ゴア。」
五位鷺「・・・」
蒼鷺「ヘロンの公式である理由だが・・・ゴア。」
五位鷺「何を引き伸ばしているんですかグワ」
蒼鷺「これは『引き伸ばしている』というんじゃなくて、『ためている』んだゴア。」
五位鷺「・・・」
蒼鷺「ヘロンの公式である理由だが・・・ゴア。」
五位鷺「・・・」
蒼鷺「ヘロンというのは、・・・鷺という意味なんだゴア」(ドヤ顔)
五位鷺「・・・」
蒼鷺「ではもう一度言うゴア。・・・ヘロンというのは、鷺という意味なんだゴア」(ドヤ顔)
五位鷺「要は、その公式を使う鳥に対して、使うならお金払えって言うんですよねグワ」
蒼鷺「『要は』じゃなくて・・・ほらっ、・・・ゴア」
五位鷺「『「要は」じゃなくて』グワ?」
蒼鷺「ほらっ、『「要は」じゃなくて』じゃなくて、・・・・・・『ああ、なるほど、だからヘロンの公式なんですねグワ』って、ポンと手を打ってほしいんだけど・・・ゴア」
五位鷺「・・・」(ポーカーフェイス)
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【注釈】
「天下り式」:これまでの議論と一見無関係な式などを突然口走ったり導入したりする様子。




