目白の鳴き合い会
庭子パパが街を歩いていると、
「チーチュル、ピーチュル」
という可愛い鳴き声が聞こえた。
目白の囀りだ。
・・・
「目白さん、お久しぶりコケ。
鶯さんのフンをいただきたいコケ」
「あ、旦那さん、フンの仲介は、もうやめましたチーィ。
今は横綱を目指して頑張っていますチーィ。」
「横綱って、相撲の夏場所に出るのかコケ。・・・その小さな体では相撲は無理でしょうコケ」
白メガネをクイッと上げながら言った。
「説明が足りませんでしたチーィ。
目白の世界には『鳴き合い会』、別名『共鳴会』というのがあって、
3分間に鳴く回数を競うんですチーィ。
鳴く回数が多いと勝つんですチーィ。
3分間に700回を目指して特訓していますチーィ。
そこで強くなれると横綱と呼ばれるんですチーィ。」
「『鳴き合い会』コケ? 『鳴き合わせ会』と言うんじゃないのかコケ」
「鳴かせるのは『鳴き合わせ会』というかもしれないですけど、
私みたいな志願している目白の場合は、『鳴き合い会』というんですチーィ。
そこで、優勝すると、優勝賞金と花の蜜1年分がもらえますチーィ。」
「もう、鶯のフンの受けはしないのかコケ」
「しませんチーィ。
・・・
今は鳴き合い会が目白押しですチーィ。
早口言葉を特訓していますチーィ。
3メートル先に目白のカワイコちゃんがいると思うとよく囀れますチーィ。
・・・
長兵衛、忠兵衛、長忠兵衛、長兵衛、忠兵衛、長忠兵衛。」
そうか、目白の囀りは、鳴き合い会の特訓だったのか。
目白「長兵衛、忠兵・・・」
庭子パパ「どしたコケ」
目白「ど、どうしても、3メートル先に旦那さんの姿が目に入ってしまうと、うまく囀れませんチーィ。・・・申し訳無いですが、さ、さようならチーィ。」
目白は、どこかに飛んでいってしまった。




