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野外実習 第2日その3

雉「せ、先生、先ほどは、ちょっと、怒りすぎましたケンケン。

 どうもすみませんケンケン」


コジュケイ先生「ま、最後はみんなで食べようと思っていたんだが、

 先生たちも、先に食べていたのは悪かった、すまんピッピッ ピーポーホワイ ピーポーホワイ。」


雉「昇華がどうのこうのというオチがあまりにも稚拙(ちせつ)だったので、

 腹が立ってしまいましたケンケン。」


コジュケイ先生「ま、まあ、それを言うなピッピッ ピーポーホワイ ピーポーホワイ。」


・・・


時間が()つのが早いが、もうそろそろ夕方に近づいている。


コジュケイ先生「まあ、みんな、気を取り直して、今日最後の実習だピッピッ ピーポーホワイ ピーポーホワイ。」


庭子「えぇぇぇぇーーーー、フガ。暗くなると、私そろそろ鳥目になって来るんで・・・フガ。鳥目になると字を間違えることがあるんで・・・例えば弟と第とか、烏と鳥とか・・・フガ」


コジュケイ先生「まあ難しいのは話だけだし、それに、話はすぐ終わるからピッピッ ピーポーホワイ ピーポーホワイ。」


雉鳩「もう、そろそろ暗くなってきたし、今日はもうやめませんかボーボーッポッポー ボーボーッポッポー ボーボーッポッポー ボー」


コジュケイ先生「えーと、話はすぐ終わるピッピッ ピーポーホワイ ピーポーホワイ。物質を炎の中で加熱したとき、炎が特有の色を示す現象を炎色反応というんだピッピッ ピーポーホワイ ピーポーホワイ。

話はここまで、じゃあ早速、実験だ、ピッピッ ピーポーホワイ ピーポーホワイ。」


もう既に、「ただ高」のちっぽけな校庭には所狭しと花火が並べられている。


鵯「先生、そこは『炎色反応を応用したのが花火なんだピッピッ ピーポーホワイ ピーポーホワイ』の一言が足りないと思いますピーヨ」


燕「それで、先生、どの花火がどういう物質の何色の炎色反応なんですかチュピ」


コジュケイ先生「そういう、()難しい話はもういいから・・・ずどーんと行こう・・・ピッピッ ピーポーホワイ ピーポーホワイ。

点火すると、自動的に連続していくつか点火されるようになっているから・・・ピッピッ ピーポーホワイ ピーポーホワイ。

それで、だ、誰か点火してくれ・・・ピッピッ ピーポーホワイ ピーポーホワイ。」


鵯「先生が点火するんじゃないんですかピーヨ」


庭子「なんか先生、やることのスケールの割りに腰が引けてますよフガ」


化学の先生は「燃焼」の専門家のはずだ。


コジュケイ先生「お、大鷹野、頼むピッピッ ピーポーホワイ ピーポーホワイ。」


鷹子「わかりましたキッキッ! 私がやりますキッキッ!」


鵯「さあ、カウントダウンスタート、ごぉ、よーん、さーん、にいー、いーち、スタートー、ピーヨ」


鷹子が点火すると、

夏の手賀沼の花火大会に勝るとも劣らない勢いで、たくさんの花火が発射された。


ひゅー・・パン!


ばーん、ばーん、ばーん、ばーん、ばーん、ばーん、・・・


プシュー・・・ドン!

ばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばば・・・


ヒュー、・・・ドン!

ヒュー、・・・ドン!


花火がみんなの顔を照らした。


雉鳩「わぁ、これはすごいっ、たーまやー、かーぎやー、ボーボーッポッポー ボーボーッポッポー ボー」


庭子「うゎあ、島ごとゆらゆら揺れているよフガ」


本当に花火の勢いで島が揺れているのか、雉鳩君の鳴き声で自分が踊っているのかわからない状態だ。


・・・


とりあえず花火は一段落したが、まだまだ残っている状態だ。


鵯「けっこう大規模ですけど、

(こぶ)白鳥さんには断ったんですかピーヨ」


コジュケイ先生「一応、行ったんだが、瘤白鳥さんは草を食べているだけで、なんの反応もなくて、・・・ピッピッ ピーポーホワイ ピーポーホワイ。


「一応、警察には断っているんですよねケンケン?」


「言ってないよ ピッピッ ピーポーホワイ ピーポーホワイ。

怒られたらいやなんで ピッピッ ピーポーホワイ ピーポーホワイ。」


「えっ、我孫子か柏の警察署には、(まえ)(もっ)て断っておくべきではケンケン? 」


・・・


キキーッ。


白と黒のツートンカラーの自動車が 柏ふるさと大橋(注) に停まった。これは明らかにパトカーだ。

中から警察官らしき鳥が降りてきた。こっちを見ている。


コジュケイ先生「やばいやばい・・・、警察が来た、ピッピッ ピーポーホワイ ピーポーホワイ。

警察と言えば、(わし)とか鷹かもしれないピッピッ ピーポーホワイ ピーポーホワイ。大鷹野、頼む、ピッピッ ピーポーホワイ ピーポーホワイ。」



警察官の鳥「おーーぃ、そこのぉーー、ちょっと来い、ちょっと来い、・・・」


コジュケイ先生「やばやばやば・・・、警官が『ちょっと来い、ちょっと来い』って言ってるピッピッ ピーポーホワイ ピーポーホワイ。大鷹野、行って来てくれ、ピッピッ ピーポーホワイ ピーポーホワイ。」


こそこそしながら、校舎の中に逃げていくコジュケイ先生。


・・・


しかたなく、パトカーのところへ飛んでいく大鷹野鷹子。


鷹子「す、すみませんキッキッ。花火で迷惑をかけてしまい、申し訳ありませんキッキッ。高校の化学の炎色反応の実習で・・・キッキッ。苦情とか来てますかキッキッ?」


警官「来ていると言えば来ている、ピッピッ ピーポーホワイ ピーポーホワイ。

 なんでこんなにすばらしい花火大会を事前に知らせてくれなかったのかって、ピッピッ ピーポーホワイ ピーポーホワイ。」


鷹子「音がうるさいとかの苦情ではないんですねキッキッ。それはよかったキッキッ。

だけど、お巡りさん、その鳴き声は、ひょっとして、・・・お巡りさんはコジュケイですかキッキッ?」


警官「そ、そうだけど、どうしてピッピッ ピーポーホワイ ピーポーホワイ?」



【注釈】

「柏ふるさと大橋」:(固有名詞) 手賀沼の西側の端っこのほうを横断する橋。


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