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野外実習 弟2日その1

朝早く――


鷹子「みんなー、起きて起きてキッキッ。

 朝はラジオ体操なんだからキッキッ。」


庭子「あぁぁ・・・、眠いよフガ。

 まだ、4時でしょフガ」


鷹子「庭子ちゃんは鶏なんだから早く起きるものでしょうキッキッ」


庭子「早く起きるなんて、元気がいい(おん)(どり)の役割だよフガ。

 それにラジオ体操は朝6時半からだよフガ」


鷹子「あ、そうキッキッ。じゃあ、ちょっとそこらへん飛んでくるからキッキッ」


・・・


しばらくして戻ってきた鷹子。

鷹子「ちょっと高台のほうに、雀鈴雄という表札の家があったキッキッ」


庭子「ふわゎゎゎーーー、それって多分、スズメ先生のうちだよフガ」


・・・・


ラジオ体操、朝食後――


スズメ先生「じゃあ、みんな集まったかなチュン。

 2日目の最初は数学の実習だチュン」


(ひよどり)「野外実習で数学ってどういうことピーヨ?」


スズメ先生「今日は、みんなに『円周率』の測定をやってもらうチュン」


燕「えっ、円周率って『測定』するのものなのチュピ?」


スズメ先生が渋い顔をして言った

「これからみんなが測定し世間に発表する円周率が、今後1年間、世界において有効になるチュン。

 円周率っていうのは、とても重要な値だチュン。

 例えば、今世の中ではミサイルが飛ぶとか飛ばないとか言っているが、

 ミサイルの起動計算にも円周率が使われているかもしれないチュン。

 君たちが間違った円周率を発表した場合、世界のミサイルの動きがおかしくなって、

 どこからか手賀沼に向けて飛んできたミサイルが、急に方向を変えて元に戻っていく、 という事態も考えられるチュン。

 つまり、この世の安全は、君たちの双肩にかかっているんだチュン」


鷹子「そ、それは危険だキッキッ」


雉「そ、それは危険だケンケン」


庭子「いま、面白いことを見つけたフガ。

キジ君と鷹子ちゃんが一緒にしゃべってみてフガ」


鷹子・雉「そ、それは危険だキッケンキッケン」


息がぴったり。


燕「いや、待ってチュピ。手賀沼に向けて飛んできたミサイルが元に戻っていくなんて(かえ)って好都合とも言えるのではチュピ?」


鵯「けれど、こちらから撃った迎撃ミサイルもこちらに戻ってくるかもしれないよピーヨ」


鷹子・雉「そ、それは危険だキッケンキッケン」


雉鳩「先生、どのように円周率を測定したらいいんですかボーボーッポッポー ボーボーッポッポー ボーボーッポッポー ・・・」


スズメ先生「まあ、アイデアを出して考えるところから実習だチュン。みんなでゆらゆら揺れて踊りながら考えてくれチュン。

 先生は、職員室で仕事しているからチュン」


・・・


職員室で――

スズメ先生「ミサイルがどうとか、君たちの双肩とか言ったら、生徒たちびびっていたチュン。まあ、2日目だと気がゆるんでくるから、ちょうどいいのではチュン」


・・・


燕「さて、どうやって円周率を測定するかだけど・・・チュピ」


鵯「さっき先生、円周率が間違っていると、ミサイルの軌道が狂うっていっていたよねピーヨ」


雉「ということは、ミサイルを飛ばしてみて、軌道が狂うかどうかで円周率が正しいかどうかわかるということだケンケン」


鷹子「なるほど、グッドアイデアだキッキッ」


早速、雉君はペットボトルやら空気入れやらを使って、ペットボトルミサイルを作製した。


雉「ペットボトルロケットの技術を応用した、ペットボトルミサイルだケンケン。

 ミサイルというのはロケットの技術を応用してできているんだケンケン。

 そして、見てくれケンケン。発射台には、円周率を入力するキーボードと、表示する液晶画面を備えているんだケンケン。」


庭子「へぇぇぇー、さーすがーフガ」


雉「理論的に、円周率は、3より大きく4より小さいことがわかっているケンケン。

 じゃあ、まず、3.1から始めようかケンケン。

 さて、狙いを定めて軌道が狂うか実験してみたいけど、どこを狙おうかケンケン」


庭子「高台のほうに、スズメ先生のうちがあるらしいから、そこを狙ってみようフガ」


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