55/164
鯉のぼり
ここは少し趣きが異なります。
もう5月はすぐだ。
5月と言えば、鯉幟だ。
鯉幟の鯉たちの、大きな口を見ていると、まるで、雨燕くんが口を開けて空を飛んで小さな虫たちを食べていたのを思い出す。
・・・
鯉幟というのは、鯉が滝を登る様子を表している。
昔々、ずっと昔の話だ。鳥の祖先たちは滝登りしていた。
滝登りと言っても、水の川ではない。
お空の上の星の世界から空気が流れてくる。
その流れが、まるで川のようになっている。
空気の川には滝があって、
その滝をピョンピョン・・・、と滝登りする。
昔から歌にも歌われている通り、
急流の滝を登ると竜になると言われている。
滝と言う字に竜が含まれているのは、
滝を登ると竜になるからだろうか。
でもみんながみんな、空気の滝を登れるわけじゃなくて、
力果てて、空気の川縁で、死んでしまうのもいる。
どんな竜になるかって? ――それは恐竜かもしれない。
・・・
今の鳥たちは空気の沼の底の生き物なのだ。
【改訂】
空気の川を登る鳥たちの挿絵の挿入




