ずんぐりムクドリ
庭太郎は、「ずんぐりムクドリ」にお祈りメール(不採用通知)を書こうとして、パソコンに向かっていた。
(ちなみに、このパソコンは、「千葉県の」と打とうとすると、
「千葉嫌悪」と変換されるから大変お気に入りである。)
だが、待て。
「ずんぐりムクドリ」は嫌だが、コイツ以外誰が応募してきたというのか。
とりあえず3日経って誰も応募してこなかったらコイツに採用通知を出して、
変なヤツなら試用期間中にお断りすればいい。
・・・
3日経った。やはり誰も応募してこなかった。
採用通知を出すと「ずんぐりムクドリ」は、飛ぶようにすぐやってきた。
・・・
「で、君には、我が東葛を盛り上げるようなアイデアを出してほしいコケ。
明日には教えてくれコケ。
ちなみに、パワポなどで綺麗にまとめる必要はないコケ。要は、アイデアだけどんどん出してくれればいいコケ。」
――翌日(話の展開が早い)
「では2つのアイデアを発表しますジュジュ。
一つ目『東葛とんかつ選手権』ジュジュ。」
「なんだその早口言葉の出来損ないみたいのはコケ。」
「イベントですよジュジュ。
みんなで食べ比べて投票により、一番うまいとんかつを決めようという・・・ジュジュ」
「言いづらいから却下コケ。」
「わざと韻を踏んだのにジュジュ」
「もう一つはコケ?」
「もう一つは、『すすむ千葉県』(注)に対抗して『すすむ東葛』という雑誌をつくろうかと考えたのですが・・・」
対抗も何も、それはただのパクリだろうコケ。
コイツは食べ物でもアイデアでもパクることしか頭にないのか。
「・・・、パクリに過ぎないので、『そそる東葛』というのにしてみましたジュジュ。」
「それは、興味をそそられるような内容なのかコケ。」
「食欲をそそられる内容ですジュジュ。」
やはり食うことか。
「私が食レポしますジュジュ。」
「まあ、採用しようコケ。」
「日刊でどうでしょうジュジュ。
毎日食レポするんでジュジュ。」
日刊なんて、無理だ。
週刊も無理だろう。
月刊でもできるかどうか、いや多分無理だろう。
「まあ、まあ、最初なんだからそんなに張り切らないで、
月刊くらいを目標にして、調子が出てきたら週刊にしようコケ。
だが、全部が全部食レポというわけにはいかないなあコケ。」
・・・
「で、最初に行ってもらうのは、鎌ケ谷大仏だコケ。早速飛んでくれコケ」
「えぇぇーー、大仏って言っても大して大きくないのは知ってますよねジュジュ。
大仏というけど実は大きくない・・・なんてベタな話題だと思うのですがジュジュ。」
「だが、とにかく鎌ケ谷を東葛の雑誌で扱わないと、
東葛の一部としての鎌ケ谷の地位が危ないコケ」
「食レポじゃないんですかぁジュジュ」
ずんぐりムクドリは肩を落として、飛んでいった。
―――
【注釈】
「すすむ千葉県」:小学校の社会科の副読本。勿論、内容は千葉県についてである。




