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入学式の日 ボート
只野柏高校という高校は、我が手賀沼の中にある島にある。
沼の岸から島まで渡らなくてはならない。
入学説明会などなかったので、庭子が来たのは久しぶりだった。
ボート貸しのカイツブリのおじさんがいた。
「あれ、白鳥のおじさんはいないのフガ?」
「白鳥のおじさんは、この前、渡りで北のほうへ旅立っていったよキュリリリ。
だから、引き継いでやっているのさキュリリリ」
「えーとじゃあ、ボートを1日1000円で貸してよフガ」
「1日1500円に値上げしたんだキュリリリ」
「えぇっ、高すぎるよフガ。白鳥のおじさんと1日1000円にしてくれるって約束したんだフガ」
「確かに高くなったのは悪いけど、約束したという申し送りは受けてないよキュリリリ。それに、約束したとしても、それは、あなたと白鳥のおじさんの間の話でしょキュリリリ。」
「うーん、悔しいけど、そういうものかなあフガ」




