民訴
庭子パパは、森の賢者であるフクロウに相談に行くことにした。
ただ、フクロウは夜行性であるため、会いに行くのは
夜だった。
フクロウのところに着いたときには夜更けになっていた。
フクロウ「どのようなご相談ごとですかホウホウ」
庭子パパ「鶴だと思って供託金を渡したら、なぜか取られましたコケ」
フクロウ「全然、意味がわからないので、もう少し丁寧に言ってくださいホウホウ」
庭子パパ「実はこの3月26日に投票が行われる千葉県知事選挙に立候補しようとしたのですがコケ」
フクロウ「誰がですかホウホウ?」
庭子パパ「私がですコケ」
フクロウ「あなたがホウホウ?」
庭子パパ「そうですコケ」
フクロウ「本当ですかホウホウ?」
庭子パパ「本当ですコケ。」
フクロウ「うそでしょうホウホウ」
庭子パパ「本当ですよコケ。・・・話を先に行かせてくださいコケ」
フクロウは、「それは無謀な」と言おうと思ったがやめた。
庭子パパ「それで、鶴さんに代理で供託金と立候補届出の手続きをしてもらおうと思って、任せたのですコケ。
供託金としてお金を渡しましたコケ。
でも、それは鶴に偽装した鳥だったのですコケ。
あれは蒼鷺だったかもしれませんコケ。」
フクロウは「どうせ立候補しても没収されるのだから同じことだろう」と言おうと思ったがやめた。
庭子パパ「それで、悔しくて夜も眠れなくてコケ。」
フクロウ「ほうほう、なるほど、お悩みがわかりましたホウホウ。
いい方法がありますホウホウ」
庭子パパ「『いい方法がありますホウホウ』コケ? それは駄洒落ですかコケ?」
フクロウは無視して話を先に進めることにした。
フクロウ「こちらの本を読んでくださいホウホウ」
フクロウは、「民事訴訟法講義」という題名の分厚い本を、庭子パパに渡した。
庭子パパ「民事訴訟コケ? つまり、鷺野郎を相手に裁判を起こすということですかコケ?」
フクロウ「弁論主義の3つのテーゼとか、裁判所の管轄とか、訴訟能力とか、・・・、さまざまなことについて詳しく書かれていますホウホウ」
庭子パパ「弁論主義の3つのテーゼっていうのは、まあ喩えて言えば運動の3法則のようなものですかコケ」
フクロウ「いや、そこまですごくはないでしょうホウホウ」
庭子パパ「確かにこの本はいいですけど、これは少し難しすぎますコケ」
フクロウ「だからいいんですホウホウ。
少し、読んでみて下さいホウホウ」
庭子パパがその本を読むと、余りの難しさにすぐに睡魔に襲われ、ソファに座ったまま、朝まで寝込んでしまった。
朝―
庭子パパ「あれっ、ここはどこコケ」
フクロウ「鶏さん、すっかり眠れましたねホウホウ」
庭子パパ「あ、そうか、フクロウさんのところに居たんですねコケ。失礼しましたコケ。余りの本の難しさに寝てしまいましたコケ」
フクロウ「民事訴訟、つまり民訴の本は昔から『眠素』とも呼ばれてまして、副作用のない理想的な睡眠導入剤と呼ばれているんですよホウホウ。
何も私が昨日今日思いついた洒落じゃないですよホウホウ」
庭子パパ「いや、けど供託金のお金はどうなってしまうのですかコケ」
フクロウ「あれっ、眠れないのが悩みではないのですかホウホウ」




