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状況の整理

お父さん(庭子パパ)もお母さん(庭子ママ)も自分がニワトリになっていることに気づいてないようだ。


自分は「ピヨ」、お母さんは「ホゲ」、お父さんは「コケ」、が文末に付くらしい。


「大変ピヨ大変ピヨ。みんなニワトリになっているピヨ。

なんとかして、人間に戻らないとピヨ。」


「え、ホゲ。何言っているのホゲ・・・。

私たちはみんなニワトリだけど、それがどうしたのホゲ。

あんた、言っていることがおかしいホゲ。」


えっ、自分たちがニワトリってわかっているってこと?


「なんとなくさっきから頭がおかしい気がするピヨ。」


「インフルエンザがはやっているから、もしかして、あんた『インフルエンザ』ホゲ?」


庭子ママが庭子ヒヨコを寝かしつける。


「これで体温を測りなさいホゲ。」と体温計を渡す庭子ママ。

()(よく)の脇の下に挟んでねホゲ」


「え、()()って、過激派みたいなやつピヨ?」


「何言っているのホゲ。じゃあ()(よく)の脇の下でもいいよホゲ」


「え、()()って、街宣車(がいせんしゃ)で軍歌流すやつピヨ?」


「あんた、右と左もわからなくなったのホゲ。お箸を持つほうが右よホゲ。

 もしかして、あんたかなり重症かもホゲ」


ヒヨコは、右翼の脇の下で体温を測る。


ぴぴぴぴ、ぴぴぴぴ・・・すぐに体温計が鳴った。


43.1℃だ・・・

「えっ、体温がよんじゅうさんどおピヨ?」


「大変だ大変だピヨ。

死ぬよ死ぬよ死ぬよピヨ・・・」


「何よさっきから、インゲンとか死ぬとかピヨピヨうるさいわねホゲ。」


いや待てよ。冷静になろう。43度ってそんなになるわけないか。


「ってかその体温計壊れているピヨ。」


「どれどれホゲ。まあ確かにホゲ・・・」


「だから壊れてるってばピヨ。」


「43.1度って、平熱は42度くらいだからちょっと高いわねホゲ。」


えっ、平熱が42度?


何か変だ。

理科の先生は、人間の蛋白(たんぱく)(しつ)は42度になると固まって死ぬから体温計は42度までしか測れないと言ってなかったっけ?

人間とニワトリは蛋白質の成分が違うのか?

ニワトリの世界の体温計は42度以上測れるのか?



「お医者さん行ったほうがいいよホゲ。

インフルエンザかどうか検査してもらいなさいホゲ。」


インフルエンザ?

 インフルエンザと言えば、・・・

 白い防護服を着ている人がニワトリを殺処分している光景が脳裏に浮かぶ。

 鳥インフルエンザと判断されたら殺されてしまうかもしれない。


努めて平静を装って言葉を発した。

「お、お母さんピヨ。

今はお正月休みでお医者さんもやってないんじゃないかなあピヨ(汗)。」


「年末年始でも当番医とかあるでしょうホゲ。」


「い、いやいや、いや、年末年始はさすがにお医者さんも休みたいんじゃないかなあピヨ。」


「まあいいわホゲ。寝てたら元気になるでしょホゲ。」


庭子ママは部屋から出て行った。


ふうーピヨ。

大きく息をついた。



庭子パパと庭子ママが話している様子が聞こえる。


「なんか庭子風邪(かぜ)引いているらしいのホゲ。」

折角(せっかく)みんなでお(まい)りに行こうと思ったのにコケ。」




「庭子ぉ、お父さんと2人で、お諏訪(すわ)さま(注) におまいりしてくるホゲ。

お昼はサイゼリヤかどこかで食べてくるから、あんた何か適当に冷蔵庫から出して食べてなさいホゲ。」



庭子は一人(?)になりたかった。

状況を把握したかった。




ここで状況を整理しよう。

・起きたらヒヨコになっていた。

・親は自分がニワトリであることに(気づかないというよりも)疑問を持っていない。


となると疑問が湧く。

家族以外は、どうなっているのだろう。



――――――

【注釈】

お諏訪さま:流山市駒木の諏訪神社。




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