鶴さんに会いに行った庭子パパ
庭子パパは、いろいろ考えていた。
なんとしても鶴さんに会って、
立候補届出の件と、供託金として渡したお金がどうなっているのか追及しなくては。
でも、3月10日には期日前投票も始まっているのに、今更書類がどうとか言っている時点でおかしい。
立候補予定者説明会というものも随分前にあったらしい。
やっぱり知事選立候補なんて思いつきでやるものではなかった。
今となっては立候補は駄目だったとしても、供託金のお金が返ってくればまあよしとするか。
・・・
そうやって色々考えていると、絶望や諦観や怒りで傍目にも、顔色が悪くなったり少し悪くなったり、特に鶏冠や肉ひげの色が青くなったり黄色くなったり赤くなったりがはっきり分かるほどだった。
ここはあまり怒って接しても得なことはないから、憐れな感じで接しよう。
―水辺で。
「鶴さん、・・・どうしてちゃんと届出してくれなかったんだコケ・・・」
鶴らしき鳥は何も答えずに、無視していた。
「鶴さん、・・・聞こえているんでしょうコケ・・・」
「もしかして、私のことゴア?」
鶴らしき鳥は振り返った。
「鶴さん、なんでちゃんと届出をしてくれなかったのコケ(涙声)・・・
供託金用のお金もちゃんと渡していたでしょうコケ。」
「さっきから、私のことを鶴と呼んでいるみたいだけど、私は鶴ではないですよゴア」
「えっ(驚き)、コケ。・・・」
「たぶん、鳥違いかと思いますゴア」
というと、浅瀬をどんどん進んで行ってしまった。
どうやって接するかは考えていたが、まさか鶴でないと言うとは思わなかった。
・・・
まるで狐につままれたような感じだ。
ひょっとして詐欺だったのだろうか。
・・・
「百舌さん、カラスさん、オオバンさん、・・・
色々考えてくれていたのにコケ・・・。
だまされてしまったみたいだコケ」
「ひょっとすると、鷺野郎にやられてしまいましたかキチキチ・・・
悔しいですねキチキチ」
「状況から考えて、この詐欺師は、蒼鷺だったかもしれませんカー」
「波動水とか、水素水とか、水からの伝言とか、とにかく水辺には詐欺が多いですキュキュ。
でも、元気出してくださいキュキュ」




