知事選作戦会議
知事選立候補作戦会議――
嘴太烏「政見放送はどうしましょうカー。
どこぞの知事選みたいに、10度20度30度スマイルとかやりますかカー」
庭子パパ「マネは恥ずかしいコケ。でも10度20度30度って角度なのかな、温度なのかな、それともアルコール度数かなコケ。」
嘴太烏「まあ、マネはしないので、温度でもアルコール度数でも関係ないでしょうカー。
さて、鶏さんを応援する政治団体を作りましょうカー。名前は『トーリー党』でいいと思いますカー」
庭子パパ「トーリー党かあコケ」
嘴太烏「そうですカー。鳥なら誰でも入れるという意味を込めて、トーリー党ですカー」
嘴太烏「これが対立候補の情報ですカー。現職は自称『剣道2段』ですカー」
庭子パパ「剣道2段って自称でいいのかコケ。だったら、こちらは『剣道100段』でいこうコケ」
百舌「たった今、『マネは恥ずかしいコケ』と言ったと思うんですがキチキチ」
嘴太烏「いや、自称『剣道2段』は『自称』と付ける必要がありますが、『剣道100段』は自称と付けるまでもないから、かなりいいかとカー」
百舌「なるほどキチキチ。さすが、烏さんは頭がいいですねキチキチ」
嘴太烏「それから元浦安市長も立候補を表明していますカー。
過去の発言としては、メンドリが有精卵を出産する適齢期は18歳から26歳を指すというのがありましたカー」
百舌「メンドリのライフスタイルに対するとんでもない介入ですねキチキチ」
庭子パパ「確かにおかしいコケ。メンドリが有精卵を18歳から26歳まで生み続けたら大変なことになってしまうコケ。」
百舌「どう大変なんですかキチキチ」
庭子パパ「18歳、19歳、20歳、21歳、22歳、23歳、24歳、25歳、26歳の9年間で、
1年を365日とすると、
365日×9=3285日あるコケ。
もしうちの妻が毎日有精卵を生み続けたら、うちの娘の庭子は、3285羽兄弟ということになってしまうコケ。
閏年を考慮すると、3288羽になってしまう可能性もないとはいえないコケ」
百舌「それは確かに大変ですねキチキチ。って、そもそも鶏さんはそんなに頑張れるんですかキチキチ」
庭子パパ「うちらは特に、のっかったらチャチャッとやるからコケ」
百舌「今は孵卵器で卵を孵すことができるから、家じゅうヒヨコだらけでピヨピヨうるさいですよねキチキチ」
庭子パパ「3285羽もいたら、『10の3.5165乗』羽とか『3.285×10の3乗』羽なんて言ってしまうかもしれないコケ。目が行き届かなくなって、カッコーに托卵されてしまうかもしれないコケ」
嘴太烏「托卵されないように卵に名前を書くんじゃなかったでしたっけカー」
庭子パパ「でも、そんなにたくさんあったら、毎日卵に名前が書いてあるかチェックするのも難しくなってしまうコケ」
百舌「私の親類でもカッコーに托卵された者がおりますキチキチ」
庭子パパ「もう少し少なめに、1か月に1回排卵日が来たとしても、
12か月×9=108か月
で、108羽兄弟になってしまうコケ。
そうすると、除夜の鐘を撞くとき1羽ずつやらせれば数えなくていいから便利だということになってしまうコケ」
百舌「それは批判になってませんねキチキチ」
嘴太烏「あと、或る筋の情報によると、或る立候補予定者は、『所属する政党の有無を報道陣から問われたが、「この場にはふさわしくないと思うので、答えられない」と述べた』という報道がなされていますカー」
庭子パパ「ならば、我がトーリー党所属って言ってもらってもいいのだがコケ。とにかく、対立候補は穴だらけということだコケ」
・・・
オオバン「さて、地盤・看板・鞄の看板のことですが、ドラッグストアのチェーン店を作って名前を売りましょうキュキュ」
庭子パパ「ドラッグストアというのは、名前じゃなくて薬とかを売るところでしょうコケ。」
「昔の松戸の市長みたいに自分の名前をつけた店をほうぼうに作って自分の名前を売りましょうと言っているんですキュキュ」
「ドラッグストアは、ドラッグを売るところじゃなくて名前を売るところだったんだなコケ。
けど、わざわざ名前なんて買いに来る鳥が居るんですかコケ。」
「名前を買うキュキュ?」
「『カラスから子』とか『コウノトリこう太郎』とか書いた札を棚に並べると言っているんでしょうコケ」
「違いますよキュキュ 売っているのは薬と雑貨ですよキュキュ」
「あと投票日まで何週間も無いのに大丈夫だろうかコケ」
「なんとかがんばりましょうキュキュ」
・・・
急に家を空けることが多くなった庭子パパに対して、庭子ママはこんなことを思っていた。
―なんか、最近就職活動に忙しくなったのかしら。いい傾向だわ。




