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You are fired

庭子は尾長先生に訊いてみた。


「先生、どうして私の受験先を理数科にしたのピヨ。」


尾長先生「なんでって確認しただろうギーキッキッ。」


「確かにそうだけど、私、理科とか数学とかは不得意だしピヨ」


尾長先生「けど、「ただの柏高校」にしてほしいと言っていたと思うけどギーキッキッ。

理数科のほうが入りやすいんだギーキッキッ。

タダ高に受かったんだからいいだろうギーキッキッ。」


・・・


おうちにて――


「ねえお母さん・・・ピヨ。

高校のことだけどピヨ」


「なあにホゲ?」


そのとき丁度(ちょうど)、父親ドリ(庭子パパ)が会社から帰ってきた。


父親ドリはいつになくショゲていた。


「どうしたのホゲ?」


「どうしたって・・・コケ。

こんなものを今日、会社で渡されたコケ。・・・」


父親ドリは「解雇通知書」という紙を出した。


母親ドリ(庭子ママ)は「えっホゲ」と言ったまま、しばらく何も言わなかった。


・・・


「こ、これって、You are fired(注) ってやつホゲ?」


父親ドリはブスッとして言った。

「なんでわざわざ英語で言うんだコケ。」


「なんでって、今のアメリカの大統領のセリフだから言ってみただけホゲ。」


「解雇通知書を見たら、1か月も前の日付になっていたコケ。

これは、解雇予告手当ての支払いを免れようとするためだと思ったコケ。

それで、まず、日付を今日の日付に直せと言ったコケ。

そうすると、直した解雇通知書を持ってきたので受け取ったコケ。

そして、解雇予告手当てとして1か月分もらいたいと言ってやったコケ。

すると、会社側は『わかった、だけど、あしたから来なくていい』と言って来たコケ。

支払うと一筆書いてほしいと言ってやったら、向こうは一筆書いてきたコケ。」


「もしかしたら、『おれは偉いんだコケ』的な態度が鼻についたのかもねホゲ。

前に『俺は頭に立派な王冠が載っているコケ』とか言っていたからホゲ。」


・・・黙って聴いている父親ドリ。


「でも全然平気よホゲ。

だいじょうぶよお父さんホゲ。

私だって、働けばいくらでも稼げるからホゲ。」


「お父さん、大丈夫だよピヨ。

私、学費の要らない高校に入れるしピヨ。

もうツバメ君たちと友達になれたしピヨ。

ねえ、お父さん、明日いっしょにハローワークに行って、何か仕事を探そうよピヨ。」


「二人(?)ともなんて優しいんだコケ。

ハローワークは一人(?)でも行けるよコケ。」


「ねえお母さんピヨ。

私これからスーパーに行って、ミミズ買ってくるからみんなで食べて嫌なこと忘れようよピヨ。」


「そう言えば、さっき、なにか話があったんじゃないのホゲ。」


「そんなのあったっけピヨ。大丈夫だよピヨ。」



【注釈】

「You are fired」:細かいことで申し訳ないが、You're fired という書き方をすることもある。




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