母親と父親
「庭子ぉぉホゲ・・・」
1階から母親の声がする。
(え? 自分って庭子って名前だっけ?)
そ、それより・・・
「お母さんピヨ! お母さんピヨ! 助けてピヨ。
ヒヨコになっっちゃったピヨ!」
なぜかわからないが、どうしても言葉の最後にピヨが付いてしまう。
「あんたー、何言っているのホゲ?
早く起きてきてご飯食べてホゲ。」
「ホゲ」ってのがなんだかわからない。
とにかく、母親はまだこっちがヒヨコになってしまったなんて、わかっていないようだ。
一目散に食卓に下りていくヒヨコ。
そしてヒヨコは驚いた。・・・
なんとそこには大きなニワトリが・・・大きなニワトリが2羽食卓についている。
メンドリとオンドリだ。
「どうしたのホゲ・・・あんた凄く驚いた顔しているけどホゲ・・・」
メンドリがそう言った。
「庭子、今日はお正月らしく『おせち』よホゲ」
オンドリが食卓の料理を食べながら言った。
「正月料理なんてあまりおいしいもんじゃないなあコケ」
どう見てもこの2羽はニワトリだが、話の内容からすると、父親と母親としか思えない。
庭子ヒヨコは何度も、オンドリとメンドリを見た。
「さっきから何度もこっちの顔を見てるけどどうしたのホゲ?」
「もう庭子も子供じゃないんだコケ。首をしょっちゅう振るなんて、ニワトリらしくなって、いいじゃないかコケ」
オンドリはとても立派な鶏冠だ。
わたしだけじゃなくて、お父さんもお母さんもニワトリになっているってこと?