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高校受験２日目その２

２日目は面接だ。

ムクドリ「では、志望動機から聞かせていただけますかキュルル？」

「なぜか、分からない間にこちらの高校を受験することになってしまったのですピヨ。」

ムクドリ「中学生活で一番力に入れたことはなんですかキュルル」

「中学校生活のことなんて、すっかり忘れましたピヨ。

私、忘れやすいんでピヨ。」

ムクドリ「あと、気になることがあるんですけど・・・キュルル」

「なんでしょうピヨ。

高校までどうやってくるかという質問なら、今日はボートを借りて来ましたピヨ。」

ムクドリ「いや、そういうことを訊(き)こうと思ったのではないですキュルル。

鶏さんが受験しようとしているのは、理数科ですけど、間違えないですかキュルル。」

「えっ、理数科なんですかピヨ。

そんなはずはないかとピヨ。

理科とか数学なんて不得意だしピヨ。

なんで理数科になっちゃたんだろうピヨ（汗）。

きっと尾長(おなが)先生（注）が勝手にきめちゃったんだと思いますピヨ。

私はどちらかというと、昔の神話とか物語とかが好きなんでピヨ。」

ムクドリ「そ、そうですかキュルル。

それなら、将来は文学などを勉強するんですかキュルル。

じゃあ、もうやめますかキュルル。」

・・・

ムクドリ「でも、まあ、せっかくボートで来てもらったんで、もう少し続けましょうかキュルル。

スズメ先生、何かありますかキュルル？」

スズメ「私は、スズメですチュン。

肩の力を抜いてもらってチュン。

簡単なクイズだと思って・・・簡単な数学の問題を一つチュン。」

ムクドリ「いや、スズメ先生、学力は昨日の学力検査で充分かと・・・キュルル」

スズメ「まあ、一応確認ですチュン。

５の平方根は何ですかチュン。」

「一応確認ですけど、なぞなぞとかじゃないですよねピヨ」

スズメ「大丈夫チュン。まじめな問題ですチュン。遊びじゃないんでチュン」

「５の平方根は・・・

ルートォ・・・５　ピヨ？　ルート５だピヨ。」

スズメ「ファイナルアンサー、チュン？」

「ファイナル・・・いや・・・ピヨ。」

庭子は、スズメ先生がいかにも

「残念チュン！」って言いたそうな顔をしているのが気になった。

でも、ルート５というのは、間違えではないはずだ。

「ルート５とぉ、・・・」

そうだ、マイナスのほうもあったはずだ。

スズメ「ざ・・・」

「とぉ、マイナスルート５だピヨ。

ルート５とマイナスルート５ですピヨ。」

スズメ「正解チュン！

もう少しで残念と言ってしまうところでした。

さすがお主(ぬし)、フェイントかけますなチュン。

プラスマイナスルート５って言ってくれたほうがよかったチュン。

でも、正解は正解ですチュン。」

スズメ「次は理科の問題チュン。1000円に挑戦ですチュン。」

「1000円に挑戦ピヨ？」

ムクドリ「いや、スズメ先生、学力は昨日の学力検査で充分かと・・・キュルル」

スズメ「中生代に栄え、中生代の終わりに絶滅した軟体動物頭足類の１グループで、渦巻型の貝類と言えば何、チュン？」

Ａ．オールナイト

Ｂ．アラビアンナイト

Ｃ．アンモナイト

Ｄ．グッドナイト

ムクドリ「いや、スズメ先生、学力は昨日の学力検査で充分かと・・・キュルル」

スズメ「"フィフティ・フィフティ"も使えますよチュン。

答えが２つに絞られますチュン。」

「うーんピヨ。

じゃあ "フィフティ・フィフティ"ピヨ。」

スズメ「どれとどれで迷ってますか、チュン？」

「ＢとＣで・・・ピヨ」

スズメ「フィフティ・フィフティ、チュン。

では、コンピューターが答えを２つに絞りますチュン！」

残ったのは

Ｂ．アラビアンナイト

Ｃ．アンモナイト

「あああぁぁ・・・・ピヨ・・・」

ムクドリ「いや、スズメ先生、学力は昨日の学力検査で充分かと・・・キュルル。

ただ先生が遊びたいだけでしょうキュルル！

それに、それ古くないですかキュルル？」

スズメ「いいじゃないですか、古かろうと遊びだろうとチュン！

もうはっきり言って受からなくてもいいみたいだしチュン。・・・

私も今日は朝から面接ばっかりで疲れているんだしチュン！」

ムクドリ「遊びじゃないとか言ってませんでしたっけキュルル」

「"アンモナイト"が何かはわからないけどピヨ。

いや、待ってピヨ。そうだ、アラビアンナイトは、千夜一夜物語だから、違うピヨ。

じゃあ、Ｃの "アンモナイト" ピヨ！」

スズメ「ファイナルアンサー、チュン？」

「うーん、ファイナルアンサー、ピヨ！」

スズメ「では、この７５０円には戻れませんチュン」・・・ビリッ。

♪（溜(た)めの音楽）・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

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ムクドリ「いや、スズメ先生、学力は昨日の学力検査で充分かと・・・キュルル」

スズメ「ムクドリ先生は黙っていてくださいチュン！　今せっかくた(・)め(・)て(・)い(・)る(・)んでチュン。この際(さい)言いますけど、ムクドリたちは、キュルルキュルルってうるさいですよチュン。」

ムクドリ「疲れているとか言っている割に引き伸ばしているじゃないですかキュルル！」

スズメ「『引き伸ばしている』というんじゃなくて、もう一度言いますけど、『た(・)め(・)て(・)い(・)る(・)』ですチュン。」

ムクドリ「もう遊びなら、勝手にやってくださいキュルル！」

♪（溜(た)めの音楽）・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

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不安そうな顔をしている庭子。

「えー、ピヨ」

♪（溜(た)めの音楽）

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（静寂）・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

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スズメ「せーかーい、チュン！

おめでとうチュン！」

「やったあピヨ！」

スズメ「獲得した1000円は何に使いますかチュン？」

「高校の学費に使いますピヨ。」

「なんて模範的な回答でしょうチュン。

ですけど、ここでは学費不要で優秀な生徒を集めているんですチュン！

"ただ"だから "ただ高" なのですチュン！」

「そうなんですかピヨ！　駄洒落じゃないんですねピヨ」

スズメ「やっぱりこの高校にきませんかチュン？

数学と理科が不得意と言ってましたけど、

大丈夫じゃないですかチュン！」

「今日はボートを借りるのに1000円かかったからちょうどよかったピヨ。」

スズメ「私は是非あなたにこの高校に来てもらいたいチュン！」

ムクドリ「スズメ先生、面接でそんなこと言っちゃダメですよキュルル！

これから判定会議があるのにキュルル。

遊びじゃなかったんですかキュルル！」

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【注釈】

「尾長先生」：中学の、庭子の担任の先生。