高校受験2日目その1
受験2日目―――――
2日目は面接だ。
沼の岸まで来て、庭子は気づいた。
そうだった。
高校は、沼の中の島にあるんだった。すっかり忘れていた。
昨日カイツブリのおじさんが、「ワニがいて、そのワニは甘いお菓子が好きらしい」と言っていたのを思い出した。
いいこと思いついた。
お菓子を置いてみた。
黄色いワニがやってきた。
「あなたが、手賀沼に住んでいるという黄色いワニなのピヨ?」
ワニは頷いた。
黄色いワニはしゃべれるかどうかは分からないが、
どうもこっちの言うことはわかるらしい。
「それでは、あなたたちの仲間と私たち鳥と、どっちが多いか、比べるから、できるだけ多く集めてよピヨ。
数えるからこっちから島まで並んでほしいピヨ。」
なにやら「因幡 の白兎」というお話の展開みたいだ。
すると、ワニは、
「それ、昨日やったやつだよ」
と思って、お菓子だけ食べて、どこかに行方をくらませてしまった。
庭子は、昨日、ぴょんぴょんぴょんって3歩渡っていく間に、そのことを忘れてしまっていたのだった。
あぁ、うまく行かないな。
岸を歩いていくと、ボート貸しの白鳥のおじさんがいた。
「ボート貸してほしいですピヨ」
「1時間300円だけど、1日1000円でもいいよコーコー。」
と白鳥のおじさんは言った。
「じゃあ、1日1000円でピヨ」
このボートで、沼の中の島にある「ただ高」まで、辿り着くことができた。




