表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/164

高校受験1日目その3

今日は1日疲れた。朝からずっと試験だった。


試験問題は公表されるらしいので、省略しよう。


さて、帰りだわ。

この島から向こう岸に渡らなくてはならない。


行きに送ってくれたオオタカさんはいないのかなと思ったが、やはり居なかった。

考えてみたら、別に「帰りも乗せてもらう」という約束をしたわけでもなかった。


どうしようかな。


そうだ、

甘いお菓子を使おう。

試験が終わったときのために、自分へのご褒美(ほうび)と思って少し取っておいたんだ。


お菓子を置いてみた。


黄色いワニがやってきた。


「あなたが、手賀沼に住んでいるという黄色いワニなのピヨ?」


ワニは(うなず)いた。


黄色いワニはしゃべれるかどうかは分からないが、

どうもこっちの言うことはわかるらしい。


「それでは、あなたたちの仲間と私たち鳥と、どっちが多いか、比べるから、できるだけ多く集めてよピヨ。

数えるからこっちから向こうの岸まで並んでほしいピヨ。」


なにやら「因幡(いなば)白兎(しろうさぎ)」というお話の展開みたいだ。


黄色いワニのほか、1匹のワニがやってきて、並んだ。


しょぼいな・・・

数えなくても、2匹じゃないかピヨ、

といってしまいそうになったが、やめた。


1歩1歩がやや長いから、翼も少し羽ばたかなきゃならないけど、

渡っていけそうだ。


「じゃあ、数えながら背中の上をぴょんぴょんぴょん、って渡っていくから、そのままにしていてねピヨ。」


「いーち、ピヨ。」


「にー、ピヨ。」


「さーん、ピヨ。」


「さーん、ピヨ。」で岸に着いた。


因幡の白兎の展開ではここで、白兎が「だまされた馬鹿なワニめ。ハハッ」と言って、怒ったワニ(サメだという説もある。)が白兎の毛を(むし)り取るという展開なのだが・・・、庭子はそんなことは言わない。


鶏は3歩歩くと忘れると言われている。

「さーん、ピヨ。」で庭子が岸に着いたときには、

庭子は、自分が何をしていたのかわからなくなって、

どうして目の前にワニがいるのかわからなくなった。

もし、庭子がここで物忘れをしていなければ、羽根を毟り取られていたかもしれない。


「ああ、なんだ我々は3匹なのか」と思った2匹のワニはそのまま、どこかへと姿をくらませて行った。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ