高校受験1日目その2
庭子が受験会場となる教室に入っていくと、
そこにはさまざまな受験生の鳥がいた。
しかし、1羽、寒そうにがたがた震えている鳥がいた。
「寒そうじゃないのピヨ?
私は鶏だけど、お名前はピヨ?」
「えっと、ツバメですチュピ。」
あれっ、ツバメというのは冬の間は南の国に行くものではないのだろうか?
「寒そうだけどピヨ。なんで、今、ツバメ君が日本に居るのピヨ?
冬の間はちゃんと南の国に行かなくてはピヨ。」
「実は僕は松戸に住んでいるんだけど、
お父さんが松戸市のPR動画の募集係になったんだチュピ。
それから、僕は高校の受験があるからチュピ。
そういうわけで、南の国に行かなかったんだチュピ。
つまり、僕らは、えっと、ツバメなんだチュピ。」
近くにいたキジが言った
「それって、多分、越冬ツバメって言いたいんじゃないのケンケン?」
「なるほどピヨ。
暖かくしなくちゃピヨ。
懐炉をあげるよピヨ。」
ツバメ「ありがとうチュピ。
少し温かくなってきたチュピ。調子がよくなってきたチュピ。
では、調子が出てきたところで、前奏からチュピ。・・・たーらーりーらら ちゃちゃちゃーん・・・」
「え、なにそれ、意味がわからないピヨ。」
キジ「いやいや待って、ここは受験会場だし、大人の事情とか、
ここで歌を歌うのはいろいろ問題があるよケンケン。」
ツバメ「ヒュールリーのところは歌いたいチュピ」
「さっきから意味がわからないピヨ。どういうことピヨ?」
キジ「どうも、"越冬ツバメ" っていう歌を歌おうとしたらしいケンケン。」




