庭子の誕生日
鶏庭子の誕生日は2月8日である。(注)
庭子ママは、ささやかに庭子の誕生日を祝った。
いつも通りの、庭子、庭子ママ、庭子パパの3羽の夕食の席だが、
火の点っている蝋燭のケーキがあるのはいつもと違っていた。
庭子ママは歌った。
ハーピバースデートゥーユー・・・(中略)・・・ハーピバースデー ディア庭子、ハーピバースデートゥーユー、ホゲ。
歌が終わると、庭子は頑張って火を吹いて消した。
ふぅーーーーーーピヨ。
・・・
庭子パパはずうっと黙っていた。
庭子ママ「お父さん、お父さん、どうしたのホゲ?」
庭子パパ「庭子が成長して、そのうち、『会ってほしい鳥が居るのホゲ』(注)なんて言われたらどうしようコケ」
庭子ママ「えぇぇえぇーホゲ(笑い)。随分 気が早いのねホゲ。庭子はまだ中学生よホゲ。それにまだまだピヨピヨ言っているしホゲ」
・・・
庭子ママ「庭子、今日は、あなたの大好きなミミズの蒲焼と酢ミミズがあるのよホゲ」
庭子「そうそう、これこれピヨ! この味ピヨ!」
もう既にパクついていた。
「ほっぺが落ちそうだピヨ」
庭子パパは、羨ましそうに庭子を眺めた。
庭子ママ「大丈夫よホゲ。お父さんの分もあるのよホゲ」
庭子パパ「そうそう、これこれコケ! この味コケ!」
もう既にパクついていた。
「ほっぺが落ちそうだコケ」
さっきの押し黙っていた庭子パパはどこに行ったのか。
それにしても、庭子と庭子パパはそっくりだこと。血は争えないというのはこういうことだろうか。
庭子ママ「庭子ぉ、あんまりそうやって、たくさんお口に詰め込まないのホゲ。お父さんみたいに、両方のほっぺが落ちちゃって、元に戻らなくなって、ずうっと顎の下に肉髭がぶら下がっちゃうよホゲ」
庭子「えぇぇえぇーピヨ。ひえぇぇー、あんな風になりたくないよピヨ」
庭子ママ「あははははホゲ。まあ、多分、大丈夫よホゲ」
まあ、鶏さんちは楽しそうでケッコウなことである。
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【注釈】
「誕生日は2月8日である」:前に出てきたが、庭子ママによると「2月8日生まれだから庭子なのよホゲ」とのこと。
「会ってほしい鳥が居るのホゲ」:こんなことを言う頃には、きっと庭子の文末もホゲになっているのだろう。




