タイムトラブル続き――中生代の終わり
(前の部分の続き)
ところが平和な時代は長くは続かない。
どのくらい経っただろうか、何日? 何箇月? 何年? ・・・
なぜか、昼間なのに空が暗くなってきた。
ひょっとして、PM2.5?
どうも情報によると、地球のどこかに巨大な隕石が落ちたらしい。
燕「これは中生代が終わりを告げているんだチュピ。
きっと地球のどこかに大きな隕石が落ちて、
空に地球からチリが舞って、
太陽光が弱くなったんだチュピ」
外は昼でも薄暗い状態がずっと続いて、
夜は前よりももっと寒くなった。
植物たちの育ちも悪くなってきた。
そのうち、氷みたいな雪が降ってきて、
周りがそんな雪で覆われた。
あ、そうそう、雨燕くんは、これまで空をずっと飛んでいたが、
「もう飛べないよ」と言って、地上に降りてきた。
ナギイ「ちょっとどうなっているんだろう。
外の様子を見てくるよ。」
ナミイ「私も一緒に行く」
庭子「外寒いから、気をつけてねフガ」
ナギイとナミイは、寒くないように着込んで御殿を出て行った。
・・・
ナギイ・ナミイ「ウー、寒いねえ」
そんなことを言いながら歩いていると、「ああ」「うう」というような呻き声がどこからか聞こえてきた。
近くに大きな洞窟があって、そこから聞こえてきているようだ。
洞窟の中に、大きな恐竜が2匹居た。
2匹の恐竜はいかにも、弱っていた。
もう死ぬんじゃないか、という感じだ。
2匹の恐竜は夫婦で、「龍雄」と「恐子」という名前だ。
龍雄「うう、も、もう僕たち恐竜の時代は終わるんだ。
だけど、あの憎き哺乳類にこの地球を渡すわけにはいかない。うう」
恐子「ああ。そう、あんな、チューチュー言う溝鼠どもが跋扈している地球なんて考えただけでもおぞましい。ああ」
龍雄「うう。だから、新時代にはキミたち蜥蜴くんたちみたいに、卵生の生物が地球を支配して欲しいんだ。うう」
ナギイ「らんせい・・・?」
ナミイ「卵から生まれるってことよ」
恐子「ああ、この洞窟の奥に食べ物が蓄えられているの。
もう私たちの時代は終わりだから、あなた達に上げる。・・・ああ」
ナギイ「有難う。本当に助かるよ」
でもしばらくしたら、2匹の恐竜は「うう」とか「ああ」とか呻き声を出して瀕死の状態になった。
ナギイとナミイは「龍雄くん! 恐子ちゃん!」と恐竜に呼びかけたが、その甲斐なく2匹の恐竜は息を引き取った。
ナギイ「龍雄くん! 恐子ちゃん! 僕たちが、哺乳類から地球を守るよ」
・・・
ナギイ「じゃあこれからは僕たちの子孫が地球を支配しないと」
ナミイ「ええ、そうね。」
そんなことを言いながら、ナギイとナミイは、家路に就いた。
すると、
「チューチュー。おい、ちょっと。チューチュー」
そんな声が聞こえた。「チューチュー。そこの待て。チューチュー」
ナギイ「なんだ鼠か何かか?」
それは、カピバラよりも大きな巨大鼠だった。
ナギイ「鼠が喋ったのか?」
巨大鼠「チューチュー。いいかあ、これまではお前ら怪獣たちがのさばる時代だったが、
これからは俺たち哺乳類の時代だ。チューチュー」
ナギイ「なにコイツ、いちいちチューチューって言わないと喋れないの?」
ナミイ(ナギイに対して)「そういうこと、言わないの。」
ナギイ「か、怪獣? ですかあ?
恐竜さんたちのことを言っているんですかあ?」
巨大鼠「チューチュー。これまで地球上でのさばってきた怪獣どもは、
自らを恐竜と称して、街を破壊し、
東京タワーを倒し、口から火を噴いて、
商店街を破壊し、建物を破壊し、鉄道を破壊し、
その害悪は計り知れない。
我々哺乳類は許すことができない。チューチュー」
ナギイ「ははーん、チューチューで話が始まってチューチューで話が終わるんだな」
ナミイ(ナギイに対して)「だから、そういうこと、言わないの。」
ナギイ「ぼ、僕たちは、怪獣じゃあありません。」
巨大鼠「チューチュー。じゃあなんだ? チューチュー」
ナギイ「えーと何だっけ?
羽毛二足歩行・・・何だっけ」
ナミイ「蜥蜴・・・」
ナギイ「えっ? 何?」
ナミイ「だから、羽毛二足歩行蜥蜴!」
ナギイ「そ、それ」
巨大鼠「チューチュー。お前ら、怪獣だろ。さっき、怪獣どもと一緒にいたじゃないか? チューチュー」
ナギイ「それに、恐竜くんたちは悪くありません。
恐竜くんたちは口から火を噴いたりしません。」
巨大鼠「チューチュー。
怪獣どものことを恐竜って呼んでいる時点で、怪獣の仲間ということがわかる。
後、怪獣のことをお前らは庇っている。
それから、姿形もなんとなく怪獣に似ている。
チューチュー」
ナギイ・ナミイ「・・・」
いつの間にか、巨大鼠たちは、10匹近くになっていた。
どこかに隠れていたのが出てきたらしい。
ナギイ「何この、沢山の鼠は・・・」
巨大鼠「チューチュー。怪獣糾弾法により、この2匹の怪獣を逮捕。チューチュー」
ナギイ「カイジューキューダンホー?(愛想笑い) 何それ。」
そんな言葉も黙殺されて、沢山の巨大鼠に押さえ込まれて、連れて行かれた。
巨大鼠たち「チューチュー。こっち来い。チューチュー」
ナギイとナミイは「嫌だよ!」と言ったが、多勢に無勢で敵わない。
・・・
ところで、ナギイとナミイの島の御殿では、ナギイ・ナミイの子供たちと鳥たちが、心配してナギイとナミイを待っているが、いつまで待っても帰ってこない。
雉「どうしたんだろうかケンケン」
雨燕「早く帰ってこないかなチリリリ」




