東葛市警察部の訓練
東葛飾復興協会のオフィスにて――
鶏庭太郎「うー寒いな、さすが12月は寒いなあコケ。
ガスストーブつけようコケ・・・
あれっ、つかないなあコケ。
どうなっているんだコケ」
椋鳥椋子「どうなっているもこうなっているも、
このあいだ、誰かさんが協会のお金を詐欺師に取られたから、
お金がなくなって、それ以降、青いウサギのガス会社にガスを止められたんですがジュジュ」
鶏庭太郎「あぁ、本当にあのウサギの会社は碌でもないコケ。
カネを払わなくてもガスを供給するという広い心はないのかコケ」
目白「さすがに『カネを出さなくてもガスを出せ』はないでしょうチーィ」
鶏庭太郎「まあ、よいコケ。
これから東葛市警察部の訓練を行うコケ。
訓練しているうちにあったかくなるだろうコケ。
・・・
あ、そうだ、訓練の前に服務宣誓をしてもらうコケ。
では、そこの服務の宣誓を椋鳥巡査と目白巡査に唱和してもらうコケ。」
椋鳥と目白「私は、日本国憲法及び法律を忠実に擁護し、命令を遵守し、東葛市警察部に優先してその規律に従うべきことを要求する千葉県警に加入せず、何ものにもとらわれず、何ものをも恐れず、詐欺師を憎み、良心のみに従い、不偏不党且つ公平中正に警察職務の遂行に当ることを固く誓います、ジュジュチーィ」
鶏庭太郎「では、これから訓練を行うコケ」
椋鳥椋子「訓練というのは何をするんですかジュジュ?」
鶏庭太郎「詐欺師の鷺を捕らえる訓練をするコケ。
では、目白巡査と椋鳥巡査は、鷺を捕らえるための網を用意して欲しいコケ」
椋鳥椋子「訓練はどこでやるんですかジュジュ?」
鶏庭太郎「我が日本が誇る富士山と筑波山が見えるビルの屋上(*)でやるコケ。
それから、『イチャモンをつける必殺技を用意してくれ』と言っておいただろう、なあ目白巡査、コケ。」
・・・
ビルの屋上にて――
鶏庭太郎「では、まず点呼コケ。番号、コケ!」
目白「いち、チーィ」
椋鳥「に、ジュジュ。以上、2名、異常ありませんジュジュ」
鶏庭太郎「いやあ、我が東葛市警察部、大勢の警察官がいて、大変頼もしいコケ。
では今日は、網で鷺を捕らえる訓練をするコケ。
だが、いきなり網で捕らえることはしないコケ。
先ず最初は、なんらかのイチャモンをつけないと捕り物劇は起こらないコケ。
ではそのイチャモンを目白巡査から紹介してもらうコケ」
目白「本職から、そのイチャモンとやらを紹介しますチーィ。
それは転び公妨というものですチーィ」
椋鳥椋子「ころび暴行、ジュジュ?」
目白「『ころびこうぼう』ですチーィ。
つまり、相手が翼を動かしたら、当たったふりをして、倒れて、
『こうぼうの現行犯で逮捕する』ってな感じで相手を確保する、っていうことですチーィ」
鶏庭太郎「なるほど、さすが我が東葛市警察部のブレーンである目白巡査はすばらしいコケ。
だが、いま、それの改良版を思いついたコケ。」
椋鳥椋子「改良版、ジュジュ?」
鶏庭太郎「名づけて、『ころびコウボウシ、起き上がりコウボウシ』だコケ」
椋鳥椋子「『ころび暴行、起き上がり暴行』ジュジュ?」
鶏庭太郎「つまりだ、転びコウボウシで倒れるが、その動きを利用し、そのまま起き上がる、というものだコケ。
ちょっとやってみようコケ。
まず椋鳥巡査は"ホシ"をやってくれコケ」
椋鳥椋子「私が犯人(?)ですかジュジュ」
鶏庭太郎「だれかがホシをやる必要があるだろうコケ。
キミは、目白巡査よりも先に巡査部長に昇進しようとは思わないのかコケ。・・・
ちょっと、スローでやってみようコケ。
まず椋鳥被疑者が翼をちょっと動かす・・・コケ。
そうしたら、目白巡査が当たったふりをして、転ぶ、コケ。そう、コケ。
これが『ころびコウボウシ』だコケ。」
椋鳥椋子「私が被疑者役なのは気に入らないですが、確かに『なるほど』という感じがしますジュジュ」
鶏庭太郎「そうしたら、連携プレーで私が起き上がる・・・、これが『起き上がりコウボウシ』だコケ・・・
あれっ、なんで私が起き上がれないんだコケ。」
椋鳥椋子「起き上がるためには、たちっぱなしではダメで、その前に倒れていなければならないのではジュジュ?」
鶏庭太郎「そうか、コケ。起き上がるためには、予め倒れておかなければならないのかコケ。
そうか、やっぱり訓練してみると、考えもしなかった盲点が見付かるものだコケ」
椋鳥椋子「目白巡査がそのまま『起き上がり暴行』の体勢に入ればいいのではジュジュ?」
鶏庭太郎「椋鳥被疑者、『起き上がり暴行』ではなく、『起き上がりコウボウシ』が正しいコケ。さっきから、椋鳥被疑者は、ボウコウ・ボウコウと言っているが、何か言葉をひっくり返す傾向があるようだなコケ。とは言うものの、椋鳥被疑者の着眼点は大変素晴らしいコケ」
椋鳥椋子「椋鳥被疑者と呼ぶのはやめて欲しいですジュジュ」
鶏庭太郎「では、目白巡査がそのまま『起き上がりコウボウシ』の体勢に入るコケ。
そして叫ぶ・・・コケ」
目白「『コウボウの現行犯で逮捕する』ですねチーィ」
鶏庭太郎「そうしたら、椋鳥被疑者が逃げようとするコケ。
そうしたら、そこに、・・・私が持った網があって、そこに椋鳥被疑者がひっかかるコケ。
そうだコケ。・・・
では、スローではなくて、通常のスピードでやってみようコケ」
・・・・
鶏庭太郎「・・・いやあ、よくできたコケ。すばらしいコケ」
*:第126部分「東葛の山その2」




