タイムトラベル続き――葦の陰の鰐
鷹子「私が、ちょっと行ってくる・・・キッキッ」
庭子(鷹子の後ろに身を隠すように)「た、鷹子ちゃん、気をつけて・・・フガ」
鷹子がその葦の陰に近づいた。
鷹子「そこに居るのは誰なのキッキッ!」
葦の陰に近づいていく鷹子。
鷹子「あ、鰐だキッキッ。
鰐が2匹いるキッキッ。
こ、これは危険だキッキッ。みんな離れてキッキッ」
・・・
鷹子は少しずつ後退りした。
みんなは遠巻きに眺めている。
鷹子「みんな、鰐だから気をつけてキッキッ!」
だが、その鰐はなかなか葦陰から移動する気配が無い。
鷹子「わ、わにさーん、うごかないんですかぁキッキッ」
鰐はじっとしているみたいだ。
庭子「ひょっとして、この鰐は『カシワニ』だったりしてフガ」
みんなが無反応だったので、庭子は「あのね、柏には『カシワニ』というキャラクターがいるんだよフガ」と言った。
鷹子はその庭子の発言に無反応だった。
鷹子「ちょっと、つっついてみようキッキッ」
鷹子は近くにあった木の枝で、葦の陰をつついてみた。
反応なし。
鷹子「もうちょっと、叩いてみようキッキッ」
鷹子は尚も木の枝で葦陰をたたいてみた。
反応なし。
鷹子「わにさーん、わにさーん、わにさーん、・・・キッキッ」
ぽんぽんぽんぽんと木の枝で叩く鷹子。
庭子「そ、そんなに叩いたら鰐がかわいそうだよフガ」
「いたいいたい、ごめんなさい、ごめんなさい」そんな言葉が聞こえた気がした。




