東葛の山その2
・・・
鶏庭太郎「うー、鼠のことを考えていたら気持ちが悪くなったコケ。ビルの屋上に行って、気分を直そうコケ」
屋上に行った鶏庭太郎。
外の空気を吸っている内に、気分が晴れてきた。
鶏庭太郎「しかし今日は、天気がいいなあコケ。・・・
あ、あの山はなんだコケ!」
西のほうに、山があるのを発見した。
鶏庭太郎「目白くんを呼んで来なくてはコケ」
鶏庭太郎「め、目白くん、ちょ、ちょっと、屋上に来てくれコケ。遠くのほうに山があるぞコケ。
あの山はなんだコケ」
2羽で屋上に行った。
目白「あぁ、あの山は、誰でも知っている富士山ですよチーィ」
鶏庭太郎「そうかあれが富士山かコケ」
目白「そうです、静岡県と山梨県が県境を争っていたところですチーィ」
鶏庭太郎「なんでそもそも県境に山を立てるんだコケ?」
目白「県境に山を立てたんじゃなくて、山を県境にしようと思っただけだと思うんですがチーィ。
ちなみに、今は、富士山の山頂辺りは、県境を決めない、ということにしているみたいですチーィ」
鶏庭太郎「な、なあ、富士山を我が東葛の山にしないかコケ」
目白「そんなことできないですよチーィ」
鶏庭太郎「まあ、富士山全体を東葛の山にはできないかもしれないけど、頂上辺りは山梨県でも静岡県でもどっちのものでもないんだろうコケ?」
目白「どっちのものでもないんじゃなくて、『境界を決めない』というのが正しい言い方だと思うんですがチーィ。
大体、富士山の頂上は東葛のものだなんて言ったら、日本中から袋叩きに遭うと思いますチーィ」
・・・
鶏庭太郎「ま、待てよ、北東のほうに紫色っぽい山が見えるぞコケ。
なんか、上のほうが2つに別れているぞコケ」
目白「あ、あれは、筑波山という茨城県の山ですチーィ。
左側が男体山、右側が女体山ですチーィ」
鶏庭太郎「あれが筑波山かコケ。い、いいじゃないか、筑波山を我が東葛の山にしようコケ」
目白「だ、だめですよチーィ。
筑波山は東葛の山だなんて言ったら、茨城県から怒られますチーィ」
鶏庭太郎「いや、是非筑波山を我が東葛のものにしたいコケ。」
目白「『西の富士、東の筑波』と昔から言われているくらいですチーィ。
とても筑波山は有名なんですチーィ。
それを自分たちのものをしたいなんて言ったら、みんなから袋叩きに遭いますチーィ」
鶏庭太郎「『西の富士、東の筑波』かコケ。
それって凄くないかコケ!
だって、日本一高い山と並び称されるなんてコケ。
ますます欲しくなったコケ」
目白「そうですかチーィ」
鶏庭太郎「つまりあれだ、筑波山っていうのは低い割りに有名で、コストパフォーマンスに優れているコケ。
見てみろ、北岳(注)なんて高いけど、大して有名じゃないだろうコケ。」
目白「コストパフォーマンスという言葉はこういうときに使うんですかチーィ?」
鶏庭太郎「そうだコケ。筑波山のコストパフォーマンスは驚異的だコケ。」
目白「ちなみに、筑波山は日本百名山に入っていますチーィ」
鶏庭太郎「そうか、素晴らしいコケ。筑波山は素晴らしいコケ。
是非、筑波山を東葛のものにする計画を纏めてくれコケ」
目白「うーん、ちょっと難しいとは思いますけど・・・チーィ」
・・・・
オフィスにて――
目白「協会長、筑波山じゃなくて、別の山が見つかりましたチーィ」
鶏庭太郎「別の山コケ?」
目白「そうですチーィ。我が東葛の中に山が見つかりましたチーィ」
鶏庭太郎「まさか、それは『流山』とかいう駄洒落じゃないよなあコケ」
目白「違いますチーィ。『行徳富士』という立派な山ですチーィ」
鶏庭太郎「『ぎょうとくふじ』コケ?」
目白「そうですチーィ。市川市にある立派な山ですコケ」
鶏庭太郎「その山は、火山なのかコケ?」
目白「残土で作った山ですコケ」
鶏庭太郎「そうか、残土、鳥たちが造ったのかコケ。それは素晴らしいコケ。
だが、やっぱり筑波山が欲しいコケ。千葉県の最高峰、愛宕山(注)には負けたくないコケ。
・・・そうだ、筑波山を東葛の山にする前に、取り敢えず暫定的に行徳富士を、東葛を象徴する山にしようコケ」
―――
【注釈】
「北岳」:日本で2番目に高いと言われている山。特に東葛と関係があるわけではない。
「愛宕山」:千葉県南房総市にある、標高約408mの山。
【改訂】
それは『流山』とかいうギャグじゃないよなあコケ
↓
それは『流山』とかいう駄洒落じゃないよなあコケ
注釈の追加
挿入
『千葉県の最高峰、愛宕山(注)には負けたくないコケ。』
『「愛宕山」:千葉県南房総市にある、標高約408mの山。』




