よいしょ、よいしょ
雉「これはちょっと固すぎるケンケン。
ちょっと休憩しようケンケン」
庭子「ちょっと私にやらせてよフガ。
う・・・これは固いフガ」
燕「とりあえず、今日は退散しようチュピ」
・・・・
翌日――
庭子「・・・というわけなんだフガ。
ひょっとしたら恐竜の化石が出てくるかもしれないし、
大ナマズがいるかもしれないんだフガ。」
大葦切「面白そうだな行行子」
大鷹野鷹子「そう・・・じゃあ、私が手伝ってあげるキッキッ」
庭子「地学部じゃない鳥に手伝ってもらうのはプライドが許さないけど、仕方ないフガ」
鵯「私も見に行こうピーヨ」
大鷹野鷹子「放課後、クラスのみんなで手伝いにいこうキッキッ」
放課後――
クラスのみんなが、その、地面の下に埋まっているというプラスチックの蓋らしきものを見に行った。
大鷹野鷹子「どれどれキッキッ?
・・・
うーん、これは固いキッキッ」
雉「よし、僕が大鷹野を引っ張ろうケンケン」
大鷹野鷹子「まだだめだキッキッ」
燕「そうだ、みんなで1列になって、引っ張ろうチュピ」
クラスの鳥たちが次々に後ろに前の鳥を引くべく、
1列になった。
大鷹野は蓋らしきものを引っ張って、
大鷹野を烏が引っ張って、
烏を雉が引っ張って、
雉を庭子が引っ張って、
庭子を雉鳩が引っ張って、
雉鳩を虎鶫が引っ張って、
虎鶫を鵯が引っ張って、
鵯を杜鵑が引っ張って、
杜鵑を大葦切が引っ張って、
大葦切を雲雀が引っ張って、
雲雀を燕が引っ張って、
燕を鶯が引っ張った。
大葦切「よし、『○○○○○o、○o ○○○o』の掛け声で力を合わせて引こう行行子」
雉「その掛け声は著作権があるからだめだよケンケン。
『「○○○○○o、○o ○○○o」著作権料回収箱』を用意して、
一声言う度にみんなに100円を入れてもらわないとならないケンケン。
それだと作業が進まないケンケン。」
大葦切「掛け声に著作権なんてあるかよ行行子・・・
じゃあ、ベタだけど、『よいしょ、よいしょ』でいいよ行行子。」
1列になって、掛け声を掛けながら引いた。
そこにスズメ先生が出てきた。
「こんな大勢で何しているチュン?
蕪でも引き抜くのかチュン?」
スズメ先生は、みんなが何をしているのか意味がよくわからないが、列の最後に加わった。
・・・
みんなで引いているとき、
大葦切がおずおずと言い出した。
大葦切「あの、悪いんだけど・・・行行子。」
庭子「え、何フガ?」
大葦切「じ、実はそろそろ、僕は渡りをしなくてはならないんだ行行子。
南のほうへ行かなければ行けないんだ行行子。」
燕「なんだ、こんなにみんなが心を一つにしているときにチュピ」
庭子「ついさっき掛け声も考えてくれたのにフガ」
雉「『暑さ寒さも彼岸まで』と言うだろうケンケン。
それまでは手伝ってほしいケンケン」
大葦切「それまでずっと引っ張るつもりなの行行子?」
スズメ先生「いや、そもそも大葦切はまだ二年に進級する単位を取ってないからだめだチュン。」
燕「先生、すばらしいチュピ」
スズメ先生「よし、続けようチュン。
何をしているのかわからないけどチュン。」




