コジュケイの警官
―8月5日土曜日、それは手賀沼の花火大会だ。
花火大会は夜の7時過ぎから始まる。
花火大会を遡ること、この日のお昼に、庭子たちは、ただ高の島にいた。
「いやあ、私たちはなんて幸せなんだ、こんな近くで見られるなんて、フガ」
燕「でも、警察が手賀沼は花火の当日は入っちゃダメだとかいうかもしれないよチュピ」
庭子「でも、私たちの高校なんだから、ここに居てもいいはずだけど、フガ」
・・・
キキーッ。
白と黒のツートンカラーの自動車が 柏ふるさと大橋(注) に停まった。これは明らかにパトカーだ。
中から警察官らしき鳥が降りてきた。こっちを見ている。
雉「やばいやばい・・・、警察が来た、ケンケン。
警察と言えば、鷲とか鷹かもしれない、ケンケン。
大鷹野、頼むケンケン」
警察官の鳥「おーーぃ、そこのぉーー、ちょっと来い、ちょっと来い、・・・」
大鷹野鷹子「どこからどう見ても、鳴き声も、コジュケイだと思うけど、キッキッ。
仕方ないなあ、キッキッ」
パトカーのところへ飛んでいく大鷹野鷹子。
警察官はやはりコジュケイだった。
警官「今日は、手賀沼内は入っちゃいけないんだ、、ピッピッ ピーポーホワイ ピーポーホワイ。」
大鷹野「そ、そうですか、すみません、キッキッ」
ただ高の島に戻っていく大鷹野。
「・・・ということで、『今日はだめだ』って、キッキッ」
庭子「ここ、私たちの高校なんだけど、・・・フガ」
ぐずぐずしていると、コジュケイの警官がやってきた。
コジュケイの警官「おらっ、今日は、ここは立ち入り禁止なんだ、ピッピッ ピーポーホワイ ピーポーホワイ。」
庭子「ここ、私たちの高校なんですけど、フガ。
でも、なんで、警察官と言えば、コジュケイばかりのような気がしますけど、フガ。
その秘密を教えてくれたら、ここから退いてあげてもいいけど、フガ。」
コジュケイの警官「しょうがないなあ、じゃあ、教えてあげよう、なんで、コジュケイが警察官をやっているのか、ピッピッ ピーポーホワイ ピーポーホワイ。
別に秘密ってほどでもないけど、ピッピッ ピーポーホワイ ピーポーホワイ。
『ちょっと来いちょっと来い』って鳴いていると、
『きみい、警察官らしい声しているじゃないか、警察官にならないかピッピッ ピーポーホワイ ピーポーホワイ』と誘われるピッピッ ピーポーホワイ ピーポーホワイ」。
庭子「なるほど、フガ」
コジュケイの警官「それから、コジュケイという言葉はすぐに警察という言葉と合体するピッピッ ピーポーホワイ ピーポーホワイ。
例えば、コジュケイ+警察=コジュ警察、てな感じだピッピッ ピーポーホワイ ピーポーホワイ。
他にも例えば、
コジュケイ+警官=コジュ警官、
コジュケイ+刑事=コジュ刑事
とまあ、こんな具合だピッピッ ピーポーホワイ ピーポーホワイ。」
庭子「なるほどフガ。
けど、それなら、赤色野鶏とかでもいいと思うけど、フガ」
コジュ警官「なるほど、いいツッコミだ、ピッピッ ピーポーホワイ ピーポーホワイ。」
庭子「別にツッコンだつもりはないけどフガ」
コジュ警官「だが、赤色野鶏なんてほとんど日本に住んでいないんだ、ピッピッ ピーポーホワイ ピーポーホワイ。」
庭子「なるほどフガ。」
コジュ警官「それから、 コジュ警察においては、警察官の階級がこうなっている。
下から上に向かって、
コジュ警部補、
コジュ警部、
コジュ警視、
コジュ警視正、
コジュ警視長、
コジュ警視監、
コジュ警視総監
となっているピッピッ ピーポーホワイ ピーポーホワイ。」
庭子「それだと、警部補の下の階級はないの、フガ?」
コジュ警官「いいツッコミだピッピッ ピーポーホワイ ピーポーホワイ。」
庭子「別にツッコンだつもりはないけどフガ」
コジュ警官「警部補の下は、一番下が『コ巡査』、
下から2番目が『コ巡査部長』
となっているピッピッ ピーポーホワイ ピーポーホワイ。」
庭子「じゃあ、お巡りさんは『コジュ警視長』くらいなのフガ?」
コジュ警官「そんなに上のわけないだろうピッピッ ピーポーホワイ ピーポーホワイ。
コ巡査だよ、ピッピッ ピーポーホワイ ピーポーホワイ。
ま、階級をまとめるとこんな感じだピッピッ ピーポーホワイ ピーポーホワイ。」
庭子「この絵で、コジュケイのお巡りさんの絵が9羽居るけど、
どこがどうちがっているの、フガ?」
コジュ警官「いいツッコミだピッピッ ピーポーホワイ ピーポーホワイ。」
庭子「別にツッコンだつもりはないけどフガ」
コジュ警官「同じ絵を使いまわしているだけだから、何も違いはないよピッピッ ピーポーホワイ ピーポーホワイ。」
・・・
その夜、庭子と大鷹野鷹子は、雉の家で、手賀沼の花火を見た。
雉の家は手賀沼の近くにある。
これまで手賀沼の花火を遠くからしか見たことのない庭子には、
とっても感動的だった。
でも、野外実習のときの花火のほうがもっと面白かった。
―――
【注釈】
「柏ふるさと大橋」:(固有名詞) 手賀沼の西側の端っこのほうを横断する橋。




