ペングヰンのアーティスティックスイミング
庭子「Penクン先生、フガ。
私、泳げましたフガ」
Pen(ペングヰン)「なんだ、やろうと思えば泳げるじゃないかペンペン。
何事も食わず嫌いはよくないペンペン」
庭子「でも、羽が乾きにくいなあフガ」
Pen(ペングヰン)「羽を乾かすのは歌を歌いながら羽を広げればいいペンペン。
じゃあ、明日はみんなで手賀大橋(注)まで泳ぐからなペンペン」
・・・
次の日―――
Pen(ペングヰン)「じゃあ、みんなで、手賀大橋まで往復で泳いで来ようペンペン」
クラスのみんなは、「ただ高」の島から泳ぎ始めた。
ペングヰンは、ササッと一瞬で戻ってきた。
先頭集団の大鷹野鷹子、大葦切が戻ってきた。
杜鵑、燕と、鵯と、雲雀と、鶯と、虎鶫、雉鳩、烏が続いて戻ってきた。
雉がそれに続いて戻ってきた。
なかなか戻ってこないのが庭子。
大鷹野「庭子ちゃーん、頑張ってぇ、キッキッ。みんなで応援しようキッキッ」
大葦切「がんばれー、行行子。」
杜鵑「がんばれー、特許許可局」
燕「がんばれー、チュピ」
鵯「がんばれー、ピーヨ」
以下略。
庭子は思った、がんばれー以外に言うことはないんだろうか。
そんなことを思っていると、
手賀沼に住んでいる鵜が伴泳を始めた。
「これは頑張らなくては、フガ。」
・・・
ペングヰンに遅れること約30分、やっと庭子が戻ってきた。
庭子「やっと着いた、疲れたフガ」
Pen(ペングヰン)「みんなぁ、よく頑張ったペンペン。
ロックでカキ氷のシロップを飲もうペンペン。
氷は南極の氷山から切り出したヤツなんだペンペン。」
庭子「えぇえぇえぇ、折角の氷なんだから、削ってカキ氷にしてほしいのに、フガ」
Pen(ペングヰン)「じゃあ、みんながシロップを飲んでいる間、僕はアーティスティックスイミングやるからペンペン」
みんな「アーティスティックスイミングって何ぃー、キッキッ行行子特許許可局チュピピーヨフガ?」
Pen(ペングヰン)「アーティスティックスイミングっていうのは、要はシンクロだなペンペン。
じゃあ、音楽スタートー、ペンペン。
・・・
あれっ、音楽スタートー、ペンペン」
音楽は流れない。
Pen(ペングヰン)「そうだ、自分でやらないといけなかった、てへっ、ペンペン。
"シルヴィ・バルタン あなたのとりこ Irresistiblement" スタート、ペンペン。」
音楽が流れると、ペングヰンは、まるで見たことのない泳ぎを始めた。
燕「ウォーターボーイだチュピ」
水中の速い泳ぎといい、高いジャンプといい、水中から脚を出したり(短い脚だが)、足技手わざなんでもござれという感じだ。
ペングヰンがものすごい速さで動いたときには残像で、
まるで南極の氷山のような形に見えた。
「Penクン先生、かっこいいー、ピーヨ」
てへっ。
急にペングヰンは、動きが遅くなった。
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【注釈】
「手賀大橋」:(固有名詞)手賀沼の中央付近を横断している橋。




