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OVER-DRIVE  作者: 陽芹 孝介
第七話 本選開始とデットヒート
23/30

大砲が鳴ったと同時に、各車一斉にスタートした。

とうとうバトルエアバイクレースの本選が始まったのだ。会場を一周して、市街地に出るのだが……勢いよく飛び出したのは……。

「このままぶっちぎってやるぜっ!」

①番のガンツ兄妹だ……。しかしそれを追う二組のペアがいる。

③番の豪腕狩人のボーク夫妻と、⑥番の運び屋グルス夫妻だ。

ボーク夫妻の妻は、弓矢でガンツ兄妹のバイクを狙い、矢を発射した。

勢いのある矢は、ガンツ兄妹を目掛けて飛んできたが……。

「マリーダ!」

「あいよっ!兄貴っ!」

ガンツ兄妹の兄、カストロが妹のマリーダに言うと、マリーダはボーガンから矢を二本発射した。

マリーダの矢は、一本は自分達を狙った矢を弾き、もう一本はボーク夫妻のバイクのフロントに直撃した。

ボーク夫妻のバイクはバランスを崩した。

「くそっ!バランサーがやられたっ!」

ボーク夫は必死にバランスを保とうとしたが……。バランスを崩したバイクはクルクル回転しながら、勢いよく会場の壁に激突した。

早くも一組の脱落が出た。

ボーク夫妻を仕留めたマリーダは、ガッツポーズしている。

「しゃーーっ!」

しかしマリーダが喜んでいるのも束の間……運び屋グルス夫妻が、ガンツ兄妹の真横に迫っていた。

「敵は一組じゃねぇーっ!」

グルス夫は運転しながら、兄のカストロ目掛けて斧を降り下ろしたが……。

「しゃくせぇーっ!」

カストロはグルス夫の斧を、ものともせずに、素早く剣で斧もろともグルス夫妻を、バイクごと弾き飛ばした。

グルス夫妻のバイクも、ボーク夫妻同様に、会場の壁に激突した。

「空賊と渡り合ってきた……空の船乗りをなめんじゃねぇっ!」

これで早くも二組が脱落した。

ガンツ兄妹の暴れっぷりを、見ていた後続のペア達は、ガンツ兄妹の戦闘力に驚いている。

その戦闘力に険しい表情をしているのは、すぐ背後にいる⑤番のミロとミカだ。

ミロは言った。

「あのボーガンは厄介ですね」

「兄貴の方もヤバイよ……。あの体勢でバイクごと弾き飛ばしたんだからね……」

ミカも渋い表情だ。

後方グループのロックとユイも、先程の戦闘に驚いている。

「へぇー……やるじゃねぇか」

ロックは感心した表情だ。

「言ってる場合かっ!アイツらそうとう強いよっ!」

ユイは焦った様子だ。

するとロックとユイのバイクを、前方にいた④番の……ハンターのマリュー&リュウが狙っていた。

後ろに乗ったマリューが猟銃で狙っている。

「感心してる場合じゃないよっ!堕ちなっ!」

マリューはロック目掛けて猟銃を発射し、弾丸はロック目掛けて飛んでいったが……。


キィーンッ!


マリューは目を見開いた。ロックは刀で弾丸を弾いたのだ。

「バカなっ!弓矢とわけが違う……。弾丸だぞっ!?……クソッ!」

マリューはすぐに二射目を準備した。

「ガキッ!」

ロックはユイにそう言うと、アクセル全開でマリュー達との距離をつめ、マリュー達の隣まできた。

「ガキじゃないって……言ってんだろっ!」

ユイはそう言うと、マリュー目掛けて投げ針を投げた。

ユイの投げた針は、マリューの頬をかすめた。

「この小娘っ!」

マリューは激昂し、猟銃をユイに向けたが……。

「マリューッ!よせっ!」

リュウの制止を聞かずに、マリューは猟銃の引き金を引いた。


ボォーーンッ!


マリューの猟銃は暴発したのだ。ユイは針を二本投げており、一本はマリューの頬を……もう一本は猟銃の銃口に入っていたのだ。

「キャーーーッ!」

マリューは叫びながら、バイクから落下した。

マリューを落とされた事に激怒したリュウは、剣をユイに振りかざした。

「このガキがぁーーーっ!」


ガキィーーーンッ!


しかしすぐさまロックが刀で、剣を受けユイを守った。

ロックはニィーっと笑って、剣をいなし、刀をリュウのバイクのフロントに突き刺した。

「悪く思うなよ……」

ロックが刀を抜くと、バイクはバランスを失い、煙を上げてクルクル回転した。

「くそがぁーーっ!」

リュウはバイクを乗り捨てて脱出した。乗り手を失ったバイクは、回転しながら壁に激突した。

これで三組の脱落が決まり、それ以外の出場者達は、次々と会場を飛び出した。

ロックとユイも続けと、会場を飛び出し、市街地を目指した。


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