[第十七話]急変
なんか急展開な気が…。
そして今までの書き方が明らかに勢いで、話が一本じゃ無いことに気付きましたorz
「つまりかくかくしかじかという訳で、リノンは俺達と旅をする事になった。おK?」
「いや、いきなりなんなの……なんだよ」
あの後、羽根をなんとか消した蓮は、ルドウィンに頼まれた通りにリノンを仲間に加えるべく説明をおこなっていた。
だが当然だがかくかくしかじかという説明では通じなかったらしく、リノンは怪訝そうな顔つきを浮かべながら聞き返してくる。
「つまり、ルドウィンさんは知ってるよな?
あの人にお前を俺達の旅に加えて妹を探す手伝いをするように頼まれました。そして今、お前を仲間に加えに来た。オッケー?」
「いやいや!?良くないわよ!」
バンっとテーブルを叩いてリノンが叫んだ。
だが、蓮はそれよりも一つ気になった事が出来る。
「……わよ?」
リノンの語尾。完全に女口調だったような気がした。
「あっ……い…いや、それは…その」
途端に口ごもるリノン。
だが、そこにラズフィがヒョコっと現れリノンを見上げてこう言った。
「どうしたの?リノン"お姉ちゃん"」
「!!?」
お姉ちゃん……?どう言うことだ……っ!?
その瞬間、蓮の頭に閃光が走る。
「まさか…お前…」
「い…いや。私は…」
挙動不審になるリノンを見やりながら蓮は、ズバリ答えた。
「ラズフィにお姉ちゃんって呼ばせるプレイとは…流石に引くぞお前ごぶっぅ!!?」
「最低っ!!」
何故かぶん殴られた。解せぬ。
ということがあった翌日。
蓮は荷物をまとめ、リノンをどう説得するかを考えていた。
流石にこれ以上ここに長居するわけには行かないのでそろそろ出立したいのだが、ルドウィンとの約束を反故にするわけにもいかない。なので真面目な話、早急にリノンに一緒に来るよう説得しなければならないのである。
それにしてもどうも最近テンションがおかしい。まるで自分じゃないみたいに漫才のような行動をとっているような気もする。
…いや、気のせいか。
だが、このままではリノンは仲間になってくれないだろう。それに前回の失言も痛い。
実はあの後にラズフィに聞いてみたところ、リノン…。彼女の性別が女であることが判明した。
それを考えると今までの自分のセリフがかなり彼女に悪印象を与えている筈である。
…何故、全く気が付かなかった。いや、気付けなかったのだろうか?教えられた時、そう思った。
そもそも、今までよくよく考えたらあいつは女だって分かる場面は沢山あった。それこそ1回や2回ではなく、5回、6回と。
だが気付けなかったのだ。そもそも喉仏を確認するなど性別を探る方法は色々あった上に、胸に触れたりもしたのに気付けなかった。
(なんか…最近おかしくなってんな…)
思わず溜息を吐く。周りの状況がいきなり変わった事で自分自身が対応出来ていないのだろうか?
とにかくここらで一度気を入れ直した方が良いだろう。そう考えた蓮は上を向く。
(良し!気合入れて説得するか…。それに元々そんな余裕があるわけじゃない…。気負い過ぎるのも良くないけど、こうやって能天気過ぎるのも問題だしな…)
目標は今日中のリノンの説得。
今度こそは真面目に説得しよう。
「だから、今日はラズフィは遠紀と留守番してて欲しいんだ。大丈夫、直ぐに説得する」
そう考えた蓮はまず、ラズフィを遠紀に預けることにした。実際、真面目な話になった時にラズフィが居たら飽きてしまうだろう。
それに遠紀ならば……幼児性愛者野郎だから少し心配ではあるが、一応1000年の間に手を出していないのを考えると問題は無いだろう。
…まずは謝る所からスタートして、確実に説得するつもりだ。
「うん、分かった。頑張って勧誘してきてね?」
「おぉ。任せとけ。じゃあ遠紀。ラズフィは任せたぜ」
「あぁ、任されたよ。僕達に気にせず頑張って勧誘してきてくれ。空を飛べるようになったから少しの遅れなら問題無いだろうしね。
僕も光学迷彩の魔法が使えるからバレる心配も無いからね。ともかく怒らせないように頼むよ?」
遠紀達の声を背に浮け、蓮はリノンが泊まっている部屋の方へと向かった。
実はリノンも同じ宿屋に泊まっていたらしいのである。だが、部屋は少し離れていたが。
そうして暫く歩くとやがて、目的の部屋が目に映る。
その部屋の前で少し深呼吸をして心を落ち着かせた後、蓮は覚悟を決めて部屋へ入室しかけた時に思い出した。
(あっ……ノック忘れてーーー)
しかしもう止まらない。
そうして勢い良く開け放たれた部屋の中はーーーー。
「えっ………?」
もぬけの殻だった。
いや、正確にはリノンのモノらしき杖や本などの道具は見つかったのだが、リノンが居ない。そして気になる部分がある。
「……床に血?」
斑点のように小さな紅い染みがあった。
…いや、触るとまだ湿っている。少し前に出来たようだ。そのシミに向かってヴァーサタイルカードの殆ど忘れていた鑑定を使う。
床のシミ
主成分はタンパク質。
舐めると鉄のような味がする。
間違い無い。確実に血だ。
確か、前に本で血は殆どがタンパク質で出来ていると書いてあった覚えがある。
だが誰の血だ?
するとゴミ箱の中にクシャクシャになった紙を発見した。
それを手に取り確認する。
「…なんじゃこりゃ…?。
いや…これってまさか……!」
そこには日記だろうか?
文字が綴られていた。
○月△日
本当に今日は厄日だった。
"あいつら"が執拗に追ってくる。
○月〒日
今日も妹の手がかりすら見つからなかった
○月#日
ヤバイ。
また"あいつら"に居場所を掴まれた。
早めに逃げよう
○月/日
サリオスの村へ着いた。
ここならバレる心配も無い。
酒場に居た奴と適当にパーティーを組んで一先ずは金を稼ごう
○月K日
最悪だ。パーティメンバーになってた奴らは私から金を奪おうとしていた。
逆に返り討ちにしたが、また敵が増えた。
…そろそろヤバイかもしれない
○月H日
変な奴らにあった。襲われてた女の人を助けようとしてやられそうになった所を助けてくれた…。だけど胸を触ったり会ったばかりなのに光の儀式に誘ってくれたり変な人達だ。
…でも、女の子は可愛いかも。
でもそうしている暇はない。
明日は此処を出て王都へ向かおう。
それ以降は書かれていなかった。
いや、正確には破られている。
それもかなり荒い破り方だ。
その時床についているあるものが目についた。
「これって…床が凹んでる?」
微妙にだが、まるで人が無理矢理押し倒された後のような痕跡が残されている。
「……まさかっ……!!」
蓮はガバッと立ち上がる。
「リノン……っ!!」
そして勢い良くドアを開けた角に思うとそのままの勢いのまま、蓮はある場所へと向かうのだった。




