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ただ一人の無能勇者(凍結)  作者: Yuupon
【一章】神隠しと異世界と勇者達
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[第四話]宴

大広間に入ると、そこには沢山のパーティテーブルがあった。

そしてその上には見たことの無い食べ物や飲み物が沢山並んでいる。

見たことない食べ物ばかりであったが、 とても良い匂いが辺りを包んでいた。


辺りを見渡すと、既にかなりの勇者達が集まっており、それぞれ談笑をしていた。恐らく、この短時間で仲良くなったのだろう。


そして、とりわけ人が多いのは勇者君こと、ヒカルの周りだ。女子の比率が高いようにも見える。とはいえあの状況であんな宿命の勇者のような行動がとれ、頭もまわる。

それに容姿端麗とくれば自ずとそうなるのだろう。


「っと。とりあえず席に向かうか」


辺りを見渡して居たからか、大広間の入り口で立ち止まって居た蓮はどうやら邪魔になっていたらしい。それに気付いた蓮は少し罪悪感を抱えつつも、その場を離れる。


それから十分程経過し、勇者全員が部屋に集まると、壇上の上にウォルレアンス王が現れた。

そしてその周りには何時ものごとく、沢山の官僚や側近と思わしき人々と、兵士長と思わしき男性が後ろで油断無く目を光らせている。


会場は、王が出てきたことにより静寂に包まれている。

そんな中、ウォルレアンス王がゆっくりと口を開いた。


「まずは、勇者皆様にお礼したい。

我々、人間族の為、戦ってくれることを決意してくださり、本当にありがとう。

このエターナル王国を代表して礼を述べさせてもらう。」


そう言って王は頭を下げた。

やはり、目上の方に頭を下げられるのは慣れないものだ。

つい、やめてくださいと言いたくなってしまう。


…王は続けた。


「今宵は、勇者様方の為の宴じゃ

皆様全員、我がエターナル王国の住民全員で歓迎致しますぞ!

それと、本日は無礼講とする!

存分に楽しんで行ってくだされ!」


そう言ってウォルレアンス王は、近くのテーブルに置いてあったワインのようなものが入ったワイングラスを持ち上げる。

それを見た蓮達勇者一行と、周りの方々もコップ、またはワイングラスを持ち上げた。


「では!!

勇者様方が来られたました事を祝しまして。乾杯!!」


「「「「「「「乾杯!!」」」」」」」


やはり、こういう所は元の世界と変わらないらしい。

そして周りの人達が飲み物を飲む。

あれが合図になったのか、皆のムードは完全にパーティ用に切り替わったらしい。食い意地が張っている男子などは直ぐに料理を取りに行っていた。


そんな中、蓮は一人コップを置いて周りを見渡す。


(一応、毒が入っている可能性を考慮したけど…周りの人を見る限りは問題無いか。…まぁ時間差かもしれないけど)


そんな事を考えつつ、辺りを見渡す。

見えるのは、楽しそうに食事を取る人々。食い意地が張っているのか、料理を一気に掻き込んでいる人。


知り合いを見ると瑠花は近くにいたのかは分からないが、知らない女の子と喋っている。

ヒカルは、王に連れられて話を聞いているようだ。見た感じとても楽しそうにしているように見える。


チャールズさんは、忙しそうに料理を運ぶのを手伝っているようだ。人数が人数だからか。…大変そうに見えた。


他の人も大体は同じだろう。

とりあえずは安心か?と思いつつ、今度は端の方を見つめる。


端の方は人が少ない。

見えるものと言っても、大きな兵士の像や、壁に描かれている絵。数人だが壁に寄りかかっている勇者達。そんな所だろうか?


そんな風に辺りを眺めていた蓮だが、一人。おかしな行動を取る少年を視界に捉えた。

良く見ると、壁際の狭い空間に座り込んでいるようにも見える。


「どうしたの?君。そんな所で」


気になった蓮はその少年に声を掛けた。

恐らく服装から考えて勇者として呼ばれた人の一人だろう。


見た目はイケメンというよりも美少年。

白っぽい色の髪だ。しかし、違和感は無く良く似合っている。


力はあまり無さそうなイメージだ。


するとその少年は蓮が話しかけたことに驚いた表情をしつつもフッと笑って話し始める。


「喋る時はまず自己紹介だ。マナーくらい知っているだろう?」


と、少し小馬鹿にした表情を浮かべながら言ってきた。それを聞いて、自己紹介していなかった事に気付いた蓮は非を認め謝る。


「ん、あぁゴメン。俺は日向(ひなた) (れん)。お前は?」

風水(かぜみず) (かける)


どうやら少年の名前はカケルと言うらしい。にしても、淡々と話す奴だ。

もう少しフレンドリーにしたらモテるだろうに。


「んで、カケルは何してたんだ?見たところ、飲み物も食事も手を付けて居ないみたいじゃないか」


とりあえず蓮は気になったことをカケルに尋ねた。すると少年はいきなりカケルと呼ばれた事に驚いたようだが、直ぐに返事をした。


「それは君もだろう。先程から周りを見ているばかりで料理にも飲み物にも手を付けていない」


そう言って微笑しながら返すカケル。

…なんとなく気に食わない。


「……お前もか?毒入りとか気にしてんのは?」


だが直ぐに気を取り直し蓮は気になった事をカケルに尋ねる。するとカケルは頷いた。


「まぁそれもあるね。そもそも、初めて会った奴の事を信頼して食べ物や飲み物に手を出すのはおかしい。それにここは異世界だ。

無条件で相手を信じて行動するなんて馬鹿げていると思うよ。その分は、僕も君を評価している。」


そう言ってカケルは蓮の方を見据える。

その時、蓮は何か違和感のようなモノを感じた。

…なんと説明すれば良いのだろうか?。感じた事をそのまま言うのならば…おかしい。

何故かは分からないが、カケルを見ているとフワフワする。


分かりやすくいうならば、見えているのに見えない。自分の見ている目の前のカケルが、何かのフィルターが掛けられているようにしか見えない。そんな感覚だった。


そして何処か、カケルは普通の人では無い雰囲気を醸し出しているようにも感じる。


ーーすると、何時もの癖で思考していたからか、カケルが少し呆れた表情を浮かべながら


「それ以上用が無いなら僕は失礼するよ。ーーレン君」


そう告げて行ってしまった。


何処か不思議な感じがする奴。

それが蓮のカケルへの第一印象であった。



暫く時間が過ぎた頃。蓮は瑠花に呼ばれとある少女の目の前に居た。

瑠花曰く新しく出来た友達らしい。


「初めまして〜。私は霧咲(きりさき) 紫苑(しおん)!よろしくね!」

「俺は日向(ひなた) (れん)。此方こそよろしく。紫苑!」


そう言って蓮は瑠花の友達の紫苑と握手をした。


ちなみに紫苑の見た目は、紫色の髪のショートカット。名前の割りに明るそうなイメージの見た目を持つ紫苑に良く似合っている。


そしてここからが重要なのだが、紫苑もまた美少女である。

瑠花と並んだら一枚の絵になるくらいに。ただ、胸は小さいが。

瑠花がCの中間くらいだとすると、紫苑はギリギリBに入れるくらいだろうか?


そんな事を考えていると


「痛でででで!!何で頬をつねるんだよ!」

「蓮君が変な事を考えてそうだったから!」


これが、超能力(エスパー)というものだろうか?少し恐ろしいと思いつつも、

むーっと膨れっ面の瑠花に謝る。


するとーー。


「クスッ…仲が良いね二人は」


紫苑が口元に手を当てながら笑っている。多分、瑠花で耐性付いている蓮で無ければその笑顔に落とされていたかもしれない。それ程可愛らしい笑みだった。


「ん?そうか?幼馴染だからかな?」

「え…?仲が良いって…そんな」


蓮はあっけらかんと。

瑠花は少し頬を染めつつ返事をする。

そのうち、瑠花を見た紫苑は少し楽しそうに笑っていた。


だが、その瞬間蓮はとある感覚を味わっていた。そして気付いたのだ。…周りの男子の視線に。


「………………っ!!」


蓮がチラリと見ると慌てて目を逸らす男子諸君。…それを見た蓮は同時に納得した。


自分の横には、十五歳にしてはかなり胸が大きく、更に美少女である瑠花。

髪の色は黄色で、とても綺麗だ。


そしてその横にいるのは胸こそ大きく無いものの、これまた美少女な紫苑。

茶髪のショートカットが良く似合っている。


だが、しかし周りの男子達に

「……学校で何時もこの視線に晒されていたから分かるけど、嫉妬の目で見るのやめてもらえません?俺としても望んでこんなシチュエーションになっているわけじゃありませんから。」…などとは言えず、蓮はとりあえず無視することに決め込んだ。


そして、一応危険は無いと分かった蓮は食事を取り、楽しい宴の時間を過ごしたのであった。


こんにちは!ゆうポンです!

今回はとりあえず、キャラを2人出しました。


ヒロインにも、瑠花の親友キャラにも使えそうな便利な娘。紫苑ちゃんですね。


そして謎の少年。カケル君。


まだまだ始まったばかりなのでバトルなのに戦闘が出来ていませんが、多分後5話くらい出したら初戦闘出来ますかね?


その頃には存在(ニル)しない世界(ワールド)の事などをだいぶ説明し終わると思いますね。


それと、批判など感想ありましたら

どんどんお願いします。


改善して参ります。


2014年10月19日。修正を加えました

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