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ただ一人の無能勇者(凍結)  作者: Yuupon
新たなる冒険と謎
36/52

[第十話]光の儀式

またもや日が空きました。


宿題や文化祭の準備などで書く暇が無いゆうポンです。


それと、ブックマークが2000を突破しました!。

本当にありがとうございます!

時刻は、午後5時30分。

蓮達は、サリオスの大樹付近にやって来ていた。


「面白いモノってなんだろーね?」


ラズフィが可愛らしい首をコテンと横に傾げる。

その様子を見た遠紀が蓮の中で、《か…可愛い…》と声を上げた。


(……変態)


やはり、遠紀はロリコンだったようだ。

これからは、2つ部屋を借りて遠紀を隔離すべきだろうか?


「って…あ!レン!居たよ!」


そんな事を考えていると、突然ラズフィが立ち止まりある方向へと指を差す。

そちらの方を向くと、ピンク髪の少年?が居た。


(あぁ…。そういやガルディさんから一緒に居てくれねーかとか頼まれてたな)


その事を思い出した蓮は、真っ直ぐそのピンク髪の少年?の元へと向かう。


すると相手も気付いたようで、何故か顔を紅くして下を向いた。


(まさか、ホモ…じゃねぇよな)


そうだとしたら早めに縁を切りたい所だが、頼まれた事だから仕方ない。


「よう。1人か?」


蓮からまず声を掛けた。

それに対して俯いたままピンク髪が答える。


「あ……うん。見たら分かるで…分かるだろ…」


何故か途中で言い淀んだものの普通に答えてくれた。


「へぇ、じゃあ良かった。君もサリオスの大樹の方へ行くのか?」


再度蓮が尋ねた。それに対し肯定の意を見せるピンク髪。


「ならさ、俺らと一緒に行かないか?」


その様子を見た蓮は一気に本題を出した。


「え……で…でも……」


しかし、何故か躊躇うような声を上げる。


それを見たラズフィがぷくーっと頬を膨らませた後に、ピンク髪の少年に抱き付いた。



そしてーーー。


「ねぇ…ラズフィと一緒に行こ!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


現在、蓮達はサリオスの大樹付近に居た。結局ピンク髪の少年?も、ラズフィの上目遣いからのお願い+抱きつきには勝てなかったらしく、アッサリと陥落した。


「そう言えば自己紹介してなかったな」


思い出したように蓮が呟く。

そしてお互い自己紹介を始めた。


「俺は、日向(ひなた) (れん)だ。よろしく。そして、こいつはラズフィだ」


そう言った後に相手にも自己紹介するように蓮が促すと、ピンク髪の少年?も答えた。


「え…あ…あぁ。わた…俺は、リノン。

よ…よろしく」


何故か何度か言い淀むリノンだったが、コミュ障なのかな?と蓮は自己完結した。


「それじゃ、リノン。よろしく」


そう言って蓮が手を伸ばす。

それを見たリノンが何故か再び慌てた素振りを見せたが、そのまま手を掴んだ。


「よ……よろ」

「おう!うまくやってくれてるじゃねぇか!」


そこに、ガルディさんが現れた。

顔がかなり紅い。酒を飲んでいたのだろう。そしてリノンが何故か泣きそうな表情になっていた。


(大丈夫か…?このオッさん…)


《心配は無いだろう。彼だって冒険者だから、最低限は弁えてるさ》


思わず失礼な事を考えた蓮だが、それに対して遠紀が脳内で答えた。


するとーーー。


「よく見とけよ!今から始まるぞ!」


ガルディさんが声を上げた。

視線の先にはサリオスの大樹が見える。


次の瞬間!!

カッと光が辺りを包み込んだ。

そしてその光が消えた時、それは起こっていた。


「サリオスの大樹が光ってる…!?」

「おうよ!アレがこの村での名物!

半年に一回の光の儀式だ!」


サリオスの大樹が緑色の淡い輝きを持っていたのである。その様子はまるで世界樹。ゲームの中にあった世界樹と相違ない姿だった。


「綺麗………」


リノンが見上げながら呟いた。

その様子は何時もの勝気な表情は失われており、まるで女の子のような表情だった。


(っ………)


その表情を見た蓮は思わず顔を背ける。

背けた先には、ガルディさんに肩車してもらいながらサリオスの大樹を見て喜ぶラズフィの姿が目に映った。


すると、一人の年老いたエルフがサリオスの大樹の元へと歩き始めた。


そして、サリオスの大樹の目の前に用意されていた祭壇の上に跪き、何やら言い始める。


「我らが、エルフの神。ヴァリヴァリス様。今年もまた、貴女に我ら一同信仰を。そして、貴女様を崇めることをここにお誓い致します…。」


そう言って彼は、手に持っている玉。

何と無くオーブを連想させたが、その緑色の透き通った玉に魔力を込める。


するとーーー。


(ッ!!)


自分達からも魔力を吸い取られていく感覚を感じた。


それだけでは無い、周りを見て魔力の動きを感知する為に魔力探査系の魔法を使用すると、ここにいる全員からそれぞれ取る量は違えど、魔力が吸い取られていた。


そしてその魔力は玉へ一直線に向かい、吸収されていく。


《遠紀!これは…一体…!?》

《恐らく、さっき言ってた儀式だろうね。多分、あの玉。アレに力を送り込んで、サリオスの大樹に供えるんじゃないかな…》


蓮の質問に遠紀が答えた。

しかし、まだ疑問は残っている。


《どうやって俺達から魔力を…?》


それだ。まだあまり魔法の類は詳しくないが、少なからず個人から吸い取るタイプの魔法はあっても、多人数から魔力を吸い取るような魔法はーーー。


(まてよ…。範囲指定の魔法なら…)


範囲系魔法については殆ど知らないが、もしかしたらその可能性はある。


どこまで吸い取るのかは分からないが、恐らく儀式というくらいだから死ぬまで吸い取ったりは無いだろう。事実、自分から吸い取られているのは微々たるモノだ。


…まぁ、ウォシュムガルムの魔力とエターナルの魔力が内包されているからかもしれないが。


《まぁ安全だろ。それよりもほら、見なよ》


その声で現実に引き戻される。


更に光を放つサリオスの大樹。

とても幻想的な風景だ。


ゲームの中で出てきそうな淡い光がキラキラと輝いている。


そしてその光は一瞬一層輝いたかと思うと、やがて消えていった。


「終わった…な…」


ガルディさんが呟いた。

それに伴ってエルフ達が帰っていく。


「リノン」

「ひゃん!な…なに?」


それを見た蓮は、未だぼーっとした表情でサリオスの大樹を見つめているリノンの肩を叩く。

すると、まるで女の子のような声を上げるリノン。しかし蓮は気にせずに続けた。


「終わったぞ。ほら、帰ろう」


そう言った後に、ガルディさんの肩の上で眠そうな目をこすっているラズフィを受け取り、おんぶする。


「…えぇ…あ。あぁ!」


その様子を見たリノンが答えた後に何故か何かに気付いたかのように「あ」と声を上げた後に言い直した。


そして魔法使いみたいな帽子を少し被り直した後に、慌てて後ろからついて来た。


「じゃあ…!帰ろうか」


背中でもう寝かかっているラズフィを起こさぬよう、小声で蓮がリノンに対して言う。


その日の夜の月は、見事な満月だったそうだ。



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