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ただ一人の無能勇者(凍結)  作者: Yuupon
新たなる冒険と謎
35/52

[第九話]謎の世界とこれから

どうも。

最近夏休みの宿題……課題に追われているゆうポンです。


↑投稿していなかったのはこれが理由。


と言うわけで三日ぶりの投稿となります。


遅くなってすみません。

「ぐっ……ここは…何処だ…?」


蓮は見たことのない星空の世界に居た。

何故そんな世界に居るのかサッパリ分からないが、少なからず現実で無いのはハッキリしているだろう。


そして辺りを見渡す。

地平線にまで広がる星の海。

幻想的な風景だった。

そんな中、彼は少し感動しつつも何があったのかを思い出そうと先程までの記憶を手繰り寄せる。


「……確か、俺って魔力の使い過ぎで…」


思い出した。

確か自分は魔力を使い過ぎて倒れた筈。

つまり、ここは自分の夢の世界と言うやつなのだろう。


…その割りには意識がハッキリしているが。


「ここが夢の中なら…なんか具現化したりとかも出来んのかな?」


ポツリと呟く。

何と無く前の世界にあったレーザー系の技を思い浮かべるが、頭を振って考えるのをやめる。


その時、何かおかしい事に気が付いた。


(あれ…?ここって…本当に夢…だよな?)


先程までは目の前に広がる光景を見て夢だと判断していたが、その割りには意識がハッキリし過ぎている。


暖かさや風邪や寒さは感じないが、身体の感覚がある。


「もしかして…ここって精神世界…?」


ラズフィとエタ…遠紀と初めて邂逅した精神世界。


良く考えればこの世界での身体の感覚はあの時の精神世界の感覚と酷似している。


そこまで思考してようやく蓮は合点がいった。


「そうか!つまり今、俺は現実(リアル)では気絶していて、遠紀が精神世界(こっち)に呼び出したのか」


恐らくこれが正解だろう。

ならば暫く待っていればいずれ、遠紀が現れるだろう。


そしてそれならばと蓮は寝転んで空を見上げる。


どうせ外では気絶しているのだ。

現状の自分に出来ることは無い。

だからこそ少しでも精神をリラックスさせるべきだろう。


「にしても…絶景、美景、佳景…どんな言葉でも似合う場所だな…ここ」


空を見れば星が広がっており、天の川やその他様々な星々が瞬いている。


横を見ても下を見ても。

同じように星が瞬いている。


「……遠紀来ないな…」


しかしそうしながら遠紀を待っていた蓮だが、何故か遠紀は姿を現さない。


目の前に広がる光景に感動していた流石の蓮も疑問を抱き始めていた。


するとーーー


『おまえ…が……』

「ッ!!?」


脳に直接聞いたことの無い声が響いた。

その声質は雑音も重なり上手く聞き取れない。


『私……おまえ……中……る』


その雑音が混じった不快な声。だが、蓮はその何かに向かって話しかけた。


「なんだ…?遠紀じゃない…もっと聞き取れるように話せ!」


雑音が重なり殆ど意味の分からない言葉を脳に届ける謎の人物。


その人物に対して蓮が声を張り上げた。

しかし、その言葉が聞き入られることはない。


『おまえ……本質……私…………自身……変k………』


本格的に言葉が聞き取れなくなっていき、段々と視界がボヤけていく。


そして蓮の全身を倒れた時の倦怠感が襲う。


「待っ……グッ……待て!!なんだってんーーー」


なんだってんだよ!!と言おうとした蓮の言葉が途切れた。その瞬間、一気に身体が覚醒していく。それと同時によりリアルな倦怠感が全身を包み込む。


次の瞬間!!


「ッッ!!」

「ひゃっ!!」


蓮は勢い良く飛び起きた。

その瞬間、何か柔らかい感覚が蓮の顔に当たる。そして悲鳴に近い声が聞こえた。


「え?」

思わず疑問の声を上げながらも気になった蓮はその正体を探ろうと目をパチパチさせる蓮だったが、その正体を見る間も無く蓮は何かに飛びつかれた。


「うわっ!!…ラズフィ」

「レン!良かった!


起き上がった蓮の膝の上にちょこんと座りながらラズフィが正面から抱きついている。


しかし、その横ではーーー。


「う……うぅ……!」


何故か顔を真っ赤に染めているあのピンク髪の少年?が居た……。

相変わらずの魔法使いのローブと帽子を被っているが、何故か不審な行動をとっている。


良く見ると胸の辺りを両手で隠すように組んでいるようだ。一体何をしているのだろうか?


まぁそれよりもまず蓮は、抱きついているラズフィを引き剥がした。とはいっても優しくだが。

そして引き剥がした後に軽く頭を撫でると嬉しそうにピョンピョン跳ねるラズフィ。

良く見るとアホ毛も嬉しそうにクルクル回っている。どんな構造をしているのか少し気になるところだが今回はそれよりも。


「えっと…君は…。あぁ、見舞いに来てくれたのか?ありがとう」


今だに顔を真っ赤にして、何故か自分から距離をとっているこの少年?に、蓮はそう言ってニコッと笑う。


しかし、何故か分からないが


「こ…この変態!!」


そう言って飛び出して行った。

どうやら自分でも分からないうちに怒らせてしまったらしい。


(な…何かおかしい事をしたか…?

…と…ともかく後で謝ろう…。多分男…だよな。うん。男に変態と言われたのは何と無く嫌だけど、土下座でもなんでもして謝っておいた方がいい…よな?)


内心かなり冷や汗をかいていたが、

顔には出さず、それとは別の事も考え始める。


思い浮かべるのは1人の少女の顔だ。


(瑠花達元気かな…?

今が、勇者達と離れてから2日。

つまり戦地に勇者達が向かうのは後12日後なんだよな。…だが、初日から戦争が始まるとは考えにくい。というよりも、作戦やその他諸々。それから戦地に着くまでの時間も含めると20日…。あのバカみたいなオーバーキル考えると相手が強くとも少しは保つだろう。それで10日。…それまでの間に勇者達を救えるような大きな力を手に入れないといけないわけだ…。何だこれ、ハードスケジュールってレベルじゃねぇぞ。)


そう。これからの事である。

一応、着くまでの目安が1ヶ月。それ以上伸ばすと誰かしら死人が出始めるだろう。自分なら人を殺してもそこまで罪悪感は無いが、勇者達にはキツイはずだ。

ましてや魔族達の中には、人間とほぼ変わらない容姿の者たちもいる。


現在の所、人を殺す覚悟がありそうなのが殆ど居なかったのを思い出すとかなりキツイだろう。


ウォルレアンス王ももしかしたら捨て駒程度に考えている可能性もある。

そうすると、これからの時間。

あまり無駄には出来ない。


一番良いのは人間と魔族が停戦を結ぶなり同盟を結ぶなりして戦うのをやめれば良いのだが。


(って………待てよ……?)


人と魔族が同盟を組むような状況を作れるのでは無いか?

一つ策が浮かんだ。それもかなりの確率で成功出来る策が。


しかしーーー。


(いや…それだと関係無い人間も巻き込むか…。俺個人としては構わないけど、やらされる本人達はやりたくない…というよりもやらないだろうな…。説得も不可能に近いし…)


それは悪手である。

少なからずやれば自分達は世界を敵に回すことになる。現在の自分の強さを考えると滅多な事は考えるべきではないだろう。


(…ま、強くなったら話は別だけどな…!)


「おおお!兄ちゃん!起きたか!ありがとよ!お手柄だったな」


すると、ガチャっと音を立ててガルディさんが部屋に入ってきた。

ちなみにこの部屋は恐らく宿だろう。

それも自分達が借りた部屋だ。


「?お手柄って?」


ガルディさんの声に疑問を覚えた蓮は聞き返した。


「お前さん俺が頼んだ子と、この村のミンシーっつう、嬢ちゃんを助けてくれただろ?」


それを聞いて思い出した。

先程の夢やらこれからについてやらを考えたせいか、そんな事もあったなーくらいの感覚だが。


「いやー!助かったぜ!ありがとよ兄ちゃん!」


そう言ってガルディさんがバンバンと背中を叩く。…正直本音を言うならば痛かった。


「本当にありがとな兄ちゃん!ゆっくり魔力を回復させろよ?」


そう言ってガルディさんは部屋から出て行った。まさに嵐である。


「ねぇ!レン!」


すると次はラズフィがベッドの上でピョンと跳ねた後に、アイテムボックスから何かを取り出した。


「ほら!お昼ご飯!宿のおねーちゃんが届けてくれたんだ!」


それを言うラズフィの目はキラキラと輝いている。…それを見て察するにきっとラズフィは食べるのを我慢して看病してくれていたのだろう。


それを察した蓮は笑顔を浮かべ、「ありがとなラズフィ。じゃあ食べようか」と言ってベッドから降りた。


「うん!じゃあ頂きまーす!」


食べた後に一言言わせてもらうならば、

とても美味しかった。の一言だった。



2014年10月19日。修正を加えました

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