[第八話]無属性魔法の試し打ち
最近2日に1回の投稿になりつつある
ゆうポンです。
ともかく少ないですが投稿します。
「っ!⁉︎」
蓮は悲鳴が聞こえた方向を向いた。
当然、ラズフィも同じようにそちらを向く。
一瞬、蓮の頭でテンプレという単語が浮かんだが慌ててかき消し、ラズフィを抱き上げて悲鳴が聞こえた方向へと走り出した。
その際走りながら蓮は、ラズフィに対して素早く「悪い!飯は助けた後だ!」と声を掛けた。その言葉にラズフィが頷く。
どうやら悲鳴が聞こえた場所とはあまり距離は離れていなかったようで近づくにつれて音が聞こえて来た。
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彼女は森を歩いていた。
先程の男。あの鼠野郎にはかなり腹が立っていたから、頭を冷やすための散歩とモンスターが出たら鬱憤を晴らすように倒してしまおうと考えていたのである。
何事も無く終わる筈の散歩だった。
しかし、それは起こった。
近くで響いた悲鳴。彼女は一も二もなくその方向へと走り出した。
そして居た。
グリーンドラゴンが6匹。
そしてそれに襲われている女性。
一匹や二匹ならそこまで問題では無い。
だが、六匹もいれば話は別であった。
しかし、彼女は動いた。
何故身体が動いたのかは分からない。
しかし、彼女の身体はその女性を庇うように間に入り、彼女は魔法を発動させた。
「炎魔法!フレイム!」
炎系魔法の中級魔法だ。
彼女の中ではそこそこの魔法で、グリーンドラゴンを倒す時の常套手段であった。
直後、炎はグリーンドラゴン達を飲み込んだ。どうやら六匹のうち三匹にダメージを与えられたようであった。
しかし彼女に出来たのはそこまでだった。
直ぐ横からはグリーンドラゴンの爪が迫り、元々魔法使いであった彼女には為す術が無かった。
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蓮達が現場に着いた時、二人の人の姿が目に入った。
一人は、先程蓮達にガルディさんが世話するように頼まれたピンク髪の少年。
そしてもう一人は、そのピンク髪の少年に守られている女性だ。
しかし、ピンク髪の少年にはグリーンドラゴンの爪が迫っており、回避は恐らく不可能である一目で見て取れた。
そしてそれが分かった瞬間蓮は動いた。
ラズフィを多少乱暴だったが素早く下ろし、両手で二つの魔法を同時にグリーンドラゴンに向かって放つ。
それと同時に剣を取り出し、魔法で身体を強化しつつ走り出す。
そしてそのままの勢いのままでグリーンドラゴンを切り払った。
「大丈夫か!?」
そう言いつつも素早くグリーンドラゴンとの間合いを確保し、二人の方へ声を掛けた。
「え…あぁ!大丈夫だ!」
ピンク髪の少年?が返事をする。
その様子だと、大丈夫そうだった。
しかし、安堵している暇はない。
頭の中で遠紀の声が響く。
《左から来るぞ!上から振りかぶるから回転しつつ切れ!》
直後一匹のグリーンドラゴンが左の方向から爪を振りかぶった。それを回転しつつ切り払う。
《次は左右同時だ!横から爪が来るから跳んで回避!そして魔法を使え!》
直後、二匹のグリーンドラゴンが動く。
爪が横を滑るように迫るが、それを跳ぶことで回避し、空中で炎弾幕を唱える。
次の瞬間二匹のグリーンドラゴン達は炎の弾幕に飲み込まれた。
《ラストだ!無属性魔法の練習といこう!全属性を身体に纏わせ、放て!》
その命令通り、蓮は身体の中で全属性を混じらせる。
少し手間取ったが、遠紀の援護もあり3秒程で完成した。
「イメージ…だな」
前方から生き残ったグリーンドラゴン全てが蓮に迫っていた。
それを見た蓮は、脳内で極大のレーザーをイメージしながら魔法を放った。
刹那。
ドッ!!という音とともに地面が抉られる音が響く。そして光が蓮を包み込む。
そのまま蓮は後ろに吹き飛ばされ、木にぶつかって止まった。
そして光が晴れ、その先に見えたのはーーー
完全に消滅したグリーンドラゴン達と、抉られた地面。そして倒れている木だった。
環境破壊もここに極まれりである。
しかし、それよりも蓮の身体にはある感覚が覆っていた。
(何これ……凄ぇダルい……ヤバ…意識……が………)
身体を襲う倦怠感。恐らく魔力の使い過ぎというやつだろう。
そして蓮の意識は闇に沈んでいった。
「え?何これ……」
後に残されたのは狼狽えるピンク髪の少年?と、余りの光景に気絶してしまった女性。それとトテトテと蓮に近付いて起きてと言いたげな表情で蓮の頬っぺたを突つくラズフィの姿だけであった。
2014年10月19日。修正を加えました




