[第五話]決意
昨日は忙しくて投稿出来ませんでした。
それと、遠紀との会話を
()から、《》に変更致しました。
「よし、ではヴァーサタイルカードの提出をお願いする」
「分かりました」
あの後、蓮は門の前まで来て男の門番にチェックを受けていた。やはり、エルフ族だからかかなりのイケメンだったが。ちなみに、主なチェックは、ヴァーサタイルカードの犯罪歴などのチェックだ。
実は、ヴァーサタイルカードには犯罪を犯した時の罪なども記録される。
なので、例えば犯罪を犯した後にこういった山奥の村に逃げたとしてもヴァーサタイルカードを確認されたら一発でバレてしまうのである。
「うむ。問題は無いな」
「ありがとうございます」
職業も勇者から旅人に変化しており、特に罪を犯した事の無い蓮は問題無く検査をパスする。
しかし、ここで蓮は気付いた。
「あ……やっちまった……」と。
「じゃあそっちのお嬢ちゃんもヴァーサタイルカードを見せてくれるかな?」
「うー?ラズフィも?」
門番が当然のようにラズフィにもヴァーサタイルカードの提出を求めたのだ。
蓮の顔から冷や汗が流れ始める。
それも仕方ないだろう。何せ、ラズフィがヴァーサタイルカードを持っている筈がーー。
「はい」
「うん。ありがとうお嬢ちゃん」
「っ!⁇」
思わず、「って!あるのかよ!?」とツッコミそうになった蓮だがグッと堪える。そしてラズフィのヴァーサタイルカードを覗き込んだ。
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ラズフィ (女) 10歳 レベル:1
職業:旅人
・体力:50・速さ:50
・魔力:150・耐性:50
・攻撃:50・知識:50
・防御:50・手先:50
各種アビリティ
・言語スキル・条件解放
フォーチュンスキル
・なし
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かなり低かった。とはいっても蓮の最初よりは高いが。
恐らく、蓮に力を全て奪われたというのが原因だろう。条件解放というのも、恐らく蓮の側で無いと本来の力を使えない…といった感じだろうか。
「うん。問題無し。そういや、兄ちゃん達はこの村初めてかい?」
門番が尋ねてきた。その言葉に蓮が頷く。
「なら、今日の6時頃にサリオスの大樹の方に行ってみな。良いモノが見れるぜ。
あ、時間は分かるよな。一応宿のおばちゃんに聞いたら教えてくれる筈だぜ」
「そうですか、ありがとうございます。
是非行ってみます」
「おう!じゃあごゆっくりな」
そういって門番がまた門の前で立つ。
(……面白いモノか………)
何があるんだろうと考えつつも、サリオスの村に足を踏み入れる蓮達であった。
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サリオスの村は、やはり自然に囲まれた村だった。
辺りを見回せば、必ず一本は木が視界に入る。建物は木造建築が殆どだ。
《千年前とあまり変わってないな》
遠紀が脳内で呟いた。
《へぇ。千年前もこんな感じだったのか》
《あぁ。懐かしいよ。まぁ僕の感覚としては二年振りだけどね。》
だとするとこの村はかなり閉鎖的な村なのだろう。何せ千年もの月日が立っているのに殆ど変わっていないのだから。
「ねーレン。泊まるところどうするの?」
すると、ラズフィが尋ねてきた。
その質問に少し思案するような表情を浮かべた後に蓮が口を開いた。
「そうだな…宿屋を先に取るか」
《うん。それが良いと思うよ。なんなら顔馴染みの店を紹介しようか?》
《ちょっと待て…生きてんのか?その顔馴染みは》
《うん。この世界のエルフの寿命は凡そ平均で千三百年程度だからね。僕の顔馴染みは当時、20歳だったから》
なるほど。だから生きているというわけか。
《分かった。じゃあ場所の案内を頼む》
《了解》
そして蓮達は遠紀に教わった通りの宿へと向かうのだった。
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目的の宿は、意外とすぐ近くにあった。
INNという看板が出ている。
見た目はかなり大きい。旅館位だろうか?二階建ての建物で、看板に描かれている大樹が印象的だ。
《この宿屋が…?》
《あぁ。僕の仲間だったルドウィンっていうエルフと、その嫁さんのティリアが経営している宿さ。名前はビッグフォレストだ》
どうやらこの宿屋の名前はビッグフォレストと言うらしい。
(……あれ?エターナル王国でも聞いたことあるぞ。その宿屋。)
瑠花と紫苑の二人と一緒に街に行った時にそんな店を見た覚えがある。
支店だろうか?
そんな事を考えつつも蓮達は宿屋の中に入った。
「いらっしゃいませ」
宿屋の中に入ると、かなりの美人なエルフが迎えてくれた。
中はかなり明るい雰囲気だ。
天井には電気が無いはずなのに照明がしっかりついている。…魔法だろうか?
そして、入り口からすぐ近くにある下へ降りる階段を見るとかなり騒がしくなっていた。
恐らく、酒場か何かがあるのだろう。
よく見ると階段に酒のマークと↓という矢印が書かれていた。
「2名様ですね。今日はお泊まりでしょうか?」
美人なエルフが尋ねてくる。
「そうですね、では泊まりで。部屋は一つで充分です」
蓮がスラスラと答える。
本当は部屋は二つにしても良かったが、それだとラズフィが色々と心配な上に何かやらかしそうな気がするので一部屋にした。
「お食事は如何なさいますか?」
「ありでお願いします。」
一応だが、蓮は日本円にして6万程持っている。今日明日の分は大丈夫だが、モンスターを倒すなりして金を稼がなくてはならないだろう。
遠紀の金は沢山あるが、蓮はあまりその金は使いたくなかった。
そうすると、何だか自分達が甘い汁を啜っているように感じて嫌だったのである。
確かに今は時間が無く。まだ言ってはいないが、瑠花達の元へは戻るつもりである。
少なからず戦争が始まるまでに魔族を倒せるくらい強くなる予定だ。…だが、蓮は金稼ぎ…という一見無駄な時間を費やすような事をすることをあえて選んだ。まぁ理由はあるのだが。
「分かりました。食事は時間指定は特にありませんのでご希望の時間に食堂へお越しください」
「分かりました」
そしてそのエルフの女性に部屋へ案内された。二階の一番手前の部屋である。
「では、ごゆっくり」
部屋の説明を軽く受けた後に、そう言って美人なエルフの受付さんは去って行った。
部屋はなかなか大きかった。
15畳程の部屋にベッドが二つ備え付けられている。そしてテーブルや椅子なども完備されていた。
特に置く荷物も無い上にやることも無いので鍵だけ閉めて二人は直ぐに部屋を出た。
「で、まず当面は金を稼がないといけないわけだ」
「うん」
遠紀には話したのだが、やはり自分達で金は稼ぐということには一応だが賛成してくれた。ただし、金が無くなったりしたら使うようにと言われたが。
そして、金を稼ぐには幾つかの方法がある。
一つは、分かりやすく言うならバイトだ。どういうことかというと、本当は冒険者ギルドで依頼として例えば屋根を修理して欲しいなどの依頼が入るのだが、サリオスの村には冒険者のギルドが無いため、それが酒場で貼られている。
それを剥がして依頼者に見せ、仕事をこなす。ただそれだけだ。
そしてもう一つは、モンスターを倒して売ること。
これは、森の中に住んでいるエルフ達にとって害悪になるモンスターを倒したり、珍しい素材を持つモンスターを倒してその死骸を売ることで稼ぐという方法だ。蓮は此方をする予定である。
何故なら修行にも最適な上に、まだまだ自身が弱いからだ。
例えば本当なら剣の振りなどは、人体の動き方を考える。剣をふるときに、筋肉がどのように動くのか、どこに負担がかかるのか。そういったモノをしっかりと考えつつも、どの角度で剣を振ればいいのか、同じ角度でも腕、肩、爪先、膝、どの部分に力を入れなければならないか試すことから始まる。
単純な素振りだってそうだ。
ただ真っ直ぐ振るだけではなく、どうすれば斬った後に直ぐ動けるか。身体に負担が掛かりすぎないか。そう言ったモノを一から考え、修行し続けて少しずつ完成させていくものなのである。
しかし自分は違う。…というよりも殆どズルのような方法でそれを達することが出来る。
遠紀から剣の振りは自分の身体で実戦させる事により覚えされられる。
魔法は身体にその属性の魔力を流すことによって使えるようになった。
だが、これではただのお荷物だ。強い人に寄生しているだけでこれでは自分は本当の意味では強くなれない。
…というよりも、これでは本当の意味で強くなったとはとてもではないが言い切れないだろう。
だからこそ一人で戦い、考える訓練が必要なのだ。
「だから酒場でモンスターを倒す依頼をこなす。良い?」
「うん。レンがそう言うなら私は良いよ」
コクンとラズフィが頷いた。その様子を見た蓮がフッと笑って軽く頭を撫でる。
「じゃあ酒場に行こうか」
「うん!」
そう言って蓮達は宿屋の地下ーー。
酒場へ足を向けた。
2014年10月19日。修正を加えました




