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ただ一人の無能勇者(凍結)  作者: Yuupon
【一章】神隠しと異世界と勇者達
24/52

[第二十四話]ウォシュムガルム

光。

そんな表現しか出来ない。

ただ、眩い光が視界全体を覆っており、その光がヒカルが触れている蒼天の宝玉から発せられている。


その眩い光は暖かくもあり、冷たくもある。


勇者達や王、兵士長。

殆どが、戸惑った表情を浮かべた。

そんな中、蓮は自分の感じた嫌な感覚を信じて走る。


ヒカルが触れている宝玉。あの中の力が大きくなって。宝玉の力が無くなっていくように感じる。

そして表面にはヒビが入ったのが見えた。


「その手を…放せぇぇぇぇぇ!!」


蓮がヒカルに向かって叫んだ。

しかし彼の指先は宝玉から離れない。

その刹那の事であった。


「っ!!」


宝玉の中にいる何かの力が爆発的に強まるのを感じた。そして凄まじい威圧感が発せられる。


「がっ…あっ!!」

「何……これ……!」


この威圧感は蓮以外の勇者達も感じられたようでそれぞれ頭を押さえたり、身体を固くして耐える。

その間も蓮は宝玉へ向かって走った。もう距離は殆どない。


「届けぇぇぇぇぇ!!」


蓮が手を伸ばした。

周りがスローモーションに見える。

自分の手もゆっくりと宝玉へと伸びていった。


しかしーーー。


パキィィィィィィ!!


蓮が触れる寸前。

その瞬間宝玉が割れた。


真っ二つである。

そしてそれは現れた。

宝玉の中の力が溢れ、蒼い光が一つに集まり形成されていく。


その姿はまるでーーー。


「龍……!」


まさしく龍であった。

蒼く輝く鱗を付け、宝玉のような紅い目。口辺に長髯をたくわえ、喉下には一尺四方の逆鱗があり、顎下に蒼く輝く宝珠が見える。


「ふ…封印が……!!」


ウォルレアンス王が驚きの声を上げた。

その言葉を皮切りにパニックが起こる。


「う…うわぁぁぁぁぁ!!」

「きゃぁぁぁぁぁ!!」


蒼天龍ウォシュムガルムが放つあまりの威圧に瞬間的に勝てないと感じ取った勇者達が我先にと逃げ出したのである。


しかし逃げると言ってもすぐ近くには先程渡った幅の短い橋がある。

すぐに全員が通り抜けられるわけが無い。


「グルァァァァァァァァア!!」


ウォシュムガルムが咆哮を上げた。

それだけで大地が揺れ脆い天井が崩れた。恐らく内部からの攻撃には耐えられないのだろう。


「ッ!!ヒカル!お前は一番火力があるのを放て!光魔法が使える奴は援護を!

なんとか逃げる時間を作り出すぞ!」


そんな中で最も早く冷静になったのはブライアス兵士長だった。

素早くヒカルに指示を飛ばし、ヒカルがその声を聞いてやっと正気に戻ったらしい。


「っ!万物を生き永らえらせる天の光よ!今、ここに顕現せよ!!雷光天照(イナズマ)!!」


空から光の雨が落ちる。豪雨というのが生易しく感じる程の光の雨。

そして上から一際大きい滝のような光がウォシュムガルムに落ちた。


ピシャァァァアアアン!!と凄まじい音が響く。しかしそれだけでは終わらない。


「闇を貫く光よ。闇を包み込むのだ!

光線渦(シャイニングウォール)!!」


ヒカルが左手で雷光天照(イナズマ)を発動させながら右手で光線渦(シャイニングウォール)を作り出したのである。


ヒカルのスキルの多重魔法ってやつだろうか?

部屋ごと覆うような光の渦がウォシュムガルムを包み込む。激しい光の奔流が生まれ更に光輝いた。


その様子を見た他の勇者達が冷静になったのかスキルを発動させた。


「ワイらも負けてたまるか!光魔法!雷閃光(らいせんこう)!」


関西風の少年が光のレーザーを放出させる。続いて瑠花達や紫苑。彩葉や三谷もそれぞれ魔法を行使する。


その様子を見た蓮がチラリと後ろを見ると、怖気付いた生徒達が橋の元へ殺到していた。王もいる。だが、狭い橋を我先に逃げようとしているため逆に逃げるのが遅くなり、殆どが橋を通り抜けらていない。


(くそッ…!なんなんだよこれは…!)


内心毒付いた。本当に何なのだろう。

再び蓮が前を見ると、光の波がウォシュムガルムへと殺到していた。


あまりの量の魔法にもはやウォシュムガルムが見えない。


「やったか!?」


ヒカルが声を上げる。やってないフラグとかは考える余裕は無く、逃げずに残っていた十数人の勇者達も少し緩んだ表情を浮かべていた。


しかしーーー。


「グルァァアアア!!」

「何っ……!?」


全くの無傷であった。何のダメージも受けてはいない。寧ろ先程よりも威圧感が増していた。


「嘘…でしょ…?」

「何やと……」


残っていた勇者達が思わず絶望の声を零す。そして次の瞬間!


「下がれぇぇぇ!!」


ブライアス兵士長の声が響いた。

暴風に荒れ狂う蒼い風の衝撃波が勇者達へと容赦無く迫った。


「くっ!!」

「うわっ!!」


何人かは回避に成功したが、残り10人程が反応出来ていない。


光覇閃(こうはせん)!!」

斬撃斬(ざんげきぎり)!!」


勇者達に当たりそうな幾つかの衝撃波をヒカルとブライアス兵士長が弾いた。しかし攻撃は終わらない。


「グルァァアアア!!」


蒼いレーザーだ。量は言うまでもない。避けるスペースが全く見つからない程の高密度のレーザー。


(…使うしか無いか!!)


蓮がポケットに入れている手榴弾に手を掛ける……。


だがーーー。


「面白ェじゃねェか。勝負といこうぜェ」


グラビティが口を三日月の形にしながら前へ出た。その行動に周りの勇者達が驚きの表情を浮かべる。


しかし彼は楽しそうにーーー


「堕ちろォ」


そう言って指を鳴らす。

瞬間、レーザーが全て落ちた。

比喩ではなくそのままである。


「グルァァァァァアアアア!!」


大量のレーザーが地面に被弾していく中、ヒカル達が「嘘だろ…」と呟いている。


(今の…!やっぱりあいつの能力は重力系の能力か!)


しかし、今ので分かった。あいつの能力は重力系の能力だと。そして次にやるべき事が明白に見えた。


(だとするとあいつなら勝てる可能性はある…!なら、俺がすべきことはーー)


「ヒカル!撤退だ!」


ヒカルに声を掛ける。残っていたやつの殆どはヒカルを信頼している人物ばかりなので彼を動かせば撤退させることが出来る。


「っ!蓮君!何故君が逃げていない!

それに僕らはこいつを倒ーー」


蓮はヒカルの口を塞いだ。

そして小声で告げる。


「お前らが参加してもグラビティの足手まといになるだけだ」


と。自分が言えた事じゃないのは分かってる。だって自分が誰よりも"無能"なのだから。

だが、今回は撤退せずとも橋の辺りに居てもらわないといけない。


何故かってのは良くわかるだろう。


「オラァァァアアア!!」


グラビティが大量の岩を浮かびあげて射出している。凄まじい速度だ。

見えないのを考えると銃弾レベル…いや、それ以上の速度。


「グルァァアアア!!」


しかしウォシュムガルムも負けていない。凄まじい量のレーザーや弾幕がグラビティを襲っていた。


そしてお互い弾幕を受けたり避けたりしているが、外れた弾幕があちこちに被弾している。

幸い、まだ橋の近くには着弾していないがいつ着弾してもおかしく無いだろう。


元々、グラビティが外れた弾幕や避けた弾幕が橋や勇者達に当たらないように配慮するわけが無いのである。


それに橋が破壊されたら殆どの勇者達が飛べないので脱出が困難になる。

なんとしてでもヒカルには橋を守ってもらわねばならない。


「それよりも!橋を守ってくれ!

橋が破壊されたら撤退出来なくなってしまう!さっきの魔法で分かっただろ!今現在、ウォシュムガルムとまともに戦えるのはあいつしかいないんだよ!」


必死の形相で蓮がヒカルに言った。

混乱しながらもともかく逃げようと橋に殺到している仲間を見たヒカルが少し悔しそうな表情を浮かべながらも頷いた。


「分かった!皆!撤退するぞ!

瑠花さんと紫苑さんと心優さんは落ちてきた弾を処理してくれ!和正君は怪我人を頼む!」


次々と指示を飛ばしながらヒカルが動いた。その命令に従い他の瑠花達も動く。


「残った勇者共は俺についてこい!

大丈夫だ…!絶対に撤退させてやる!」

「了解や!」

「はい!」


その横ではブライアス兵士長も動いていた。それにヒカルに呼ばれなかった勇者達が従う。


上空ではーーー


「さァて、吹っ飛べドラゴン!!」


グラビティがウォシュムガルムをブン殴った。瞬間、不自然な動きを見せながらウォシュムガルムが吹き飛ぶ。

しかし、壁に当たった瞬間消え飛んだ。


「幻惑かァ!何処に行きやがった…!?」


グラビティとウォシュムガルムが激しい戦闘を繰り広げていた。


そして撤退しながらも天から降り注ぐ弾幕を瑠花達が相殺する。


「っ!!こっちか!」


偶に零れた弾幕が蓮の辺りに落ちてくるがそれは弾幕の軌道を読んでなんとか回避した。


しかし橋の辺りに辿り着いた時。

その時戦況は動いたのだ。


「グ…グガ……」


ウォシュムガルムが不意に固まった。

その隙を狙ってグラビティが大量の岩を一つに圧縮する。


しかしーーー。


「グァァァァァアアアアアアアア!!」


ウォシュムガルムが突然咆哮を上げたかと思うと次の瞬間ウォシュムガルムの口付近に今まで見たこと無い程の魔力が収縮される。


「っ!!?」


初めてグラビティの表情が固まった。

しかしウォシュムガルムの口元には留まるところを知らぬ勢いで膨大な魔力が縮まっていく。


「なんなんだよ……アレ…ッ!」


その魔力を感じたヒカルが驚愕の声を上げた。というよりも皆の思いを代弁した形だろう。


実際、蓮も同じ気持ちであった。


(次元が違う……)


まさしくその一言だろう。


「グ…ガ……アァァァァァァァアアア!!」


そしてウォシュムガルムはその膨大な魔力を雄叫びを上げながらさらに収縮させる。


ウォシュムガルムとしてもかなり力を込めた一撃なのだろう。


その瞬間……!


ドクン……!


また心臓が反応する。

そして理解したーーー。


(アレが…着弾したら俺達は全員死ぬ…!)


その瞬間蓮は動いた。


「和正君!!」

「な…なんだ!?」


一番力がある和正に声を掛ける。


「俺をスキル使って放り投げてくれ!

あの龍のところまで!!」


何を言っているのだろう。

周りからはそう言われるような言葉。

しかし俺はあの位置まで何としてでもいかなくてはならない。


「何を言ってるんだ!!そんなのやるわけが……!」


和正が考えた通りの反応をする。

だけどッ!!


(アレを防がないと…!永遠に俺は守れなくなる!!


グラビティに気付かされた事。

俺は守りたかったんだ。

例え無能だからって…!

例え力がなくたって…!


俺は自分が守りたいモノを守りたかったんだ。


瑠花を。俺が守りたいと思った人を!


誰かじゃない…俺が!俺の…この手で…!!


守るって誓ったんだ!あの日に。


だからこそ俺は引く訳にはいかないって…!


『決めたんだ!!』)


「やれ!!和正ぁぁ!!」


蓮は叫んだ。その豹変に和正が驚愕の表情を浮かべたが、その様子を見て頷いた。


「……分かった…。死ぬなよ…」

「和正君!?」


瑠花が驚きの表情を浮かべる。


「良いんだよ瑠花。俺は"無能"だけど、守りたい人を守るって決めたんだ…!」


蓮はそう言って瑠花に微笑んだ。


「っ!!」

「じゃあ…頼む」


蓮の言葉に瑠花は理解した。

理解してしまった。


蓮はーーー。もうこの選択を覆すつもりが無いのだと。

その瞬間、瑠花が動いた。


「蓮君……」


蓮の元に瑠花が駆け寄る。


そしてーーー。


「ーーーえっ……?」

「ちゃんと…戻って来てね…。待ってるから」


頬に残る柔らかい感触。

瑠花にキスされた事に気付くのにそう時間は掛からなかった。

そして瑠花が悲しそうな…。信じているといったような表情を浮かべる。

その表情を少しだけ眺めていた蓮だったが、やがて頷いた。


「あぁ…必ず」


そして和正の元へ向かった。

和正が蓮を見る。


「…本当に後悔しないんだな…?」


その言葉は最後通告というか、答えはなんとなく分かっているといった言葉だった。その言葉に蓮は当然のように頷いた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「くそッ…!状況は最悪だなァ…!」


ウォシュムガルムの口元に集まる凄まじい量の魔力。今まで感じた事の無いような桁違いの(チカラ)


(一つだけ…方法はある。)


しかしその方法は自分の能力は殆ど使いこなせるグラビティだったが、未だに完全には使いこなせない上に、普段使っている大きさなど比では無い大きさのものを作る必要がある。

それに何時も使っているような薄さじゃダメだ。


(だがーーーやるしかねェな…)


チラリとウォシュムガルムを見た。

本気でやっても防げるか分からない力。

本来ならば逃げるべきであろう。


しかし、グラビティのある感情がそうさせなかった。


(ここで逃げたら俺の負けだ…!俺はこんな所で負けるわけにはいかねェんだよ!)


グラビティの戦いに掛ける思い。

それには理由があった。彼は元の世界で激しく後悔したことがある。


その時、彼は誓った。


(俺は……もう後悔しない。後悔出来ないくらい強くなる)


と。それから彼は身体を鍛えた。

腹の探り合いも出来るようにした。


そして何より後悔しないように生きた。


それは今も…これからも変わらない。


そんな彼はこの世界に来た時に力を得た。


誰にも負けない力を。


(ここで負けたら…!俺は後悔する。

自分勝手な意見だ。それは分かってんだよォ!だが…!これは譲れねェ!!)


「ウォォォォォォオオオオ!!」


彼は自分の目の前の重力を操った。


瞬間ーーー。


「ーーっ!!あの野郎何を…!!」


視界の端に筋肉質な少年に抱えられた蓮の姿が見えた。


次の瞬間!!


人間砲弾(ヒューマンロケット)!!」


筋肉質な少年が叫びながら蓮を思いっきり放り投げた。ヒュンッ!と音を立てて真っ直ぐ蓮がウォシュムガルムの方へ飛ぶ。


その次の瞬間!!


「グ…ガ……アァァァァァァァアアア!!!!」


ウォシュムガルムが溜めた力を一気に凝縮して口元に白い光の弾を作り上げた。


(クソッ!考えてる暇は無ェ!!)


グラビティが判断して目の前に自身の前に本気の重力を発生させる。

勿論勇者達は巻き込まぬようにだ。


「グ……ガッ……クッ……!」


想像以上の安定のさせにくさだ。

身体にも負担が掛かる。


「まだ……だ…!クソッタレ…!!」


だが、更に重力を強める。そして圧縮した。


「ウォ……ぉォぉぉォォおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」


不気味な程叫ぶ。


しかし相手もその行動を待つつもりは無いようだ。


「グゥゥゥガァァァァアアアア!!」


溜まりに溜まった力が放出される。

その光は真っ直ぐにグラビティに向かって飛んだ。


「圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮ゥゥゥゥ!!!!!!!!」


その瞬間もただグラビティは目の前に重力を発生させては圧縮する行為を繰り返した。もはや一つの重力が作成され圧縮される速度が見えない


光線は凄まじくまるで隕石が真上から降って来た時のような光を帯びている。

光が触れずとも地面や壁が揺れ破壊されていく。


そしてその超極大の光がグラビティを飲み込もうとした瞬間、何故か一瞬光が鈍った。その瞬間を見逃さずグラビティはーーー。


「ーーー圧縮ッッッ!!!!」


完成させた。


黒い…ただひたすらに黒い物質。


「惑星すら飲み込む物質……。

ブラックホールだァ…クソッタレ……」


掠れ声でグラビティが呟く。


次の瞬間


超極大の光と惑星すら飲み込む物質であるブラックホールが激突しーーー。


グラビティもろとも全て消えた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「クソッ…早く!!」


蓮は空を飛んでいた。

手にはポケットから取り出した最大威力の手榴弾を手にしている。その中には火種石を突っ込んであった。


これは最新改良版の一番火力がある手榴弾だ。分かりやすく言うならば手榴弾の中に火種石を入れることにより、より確実に発火させられる。


火種石の周りが燃えるように指定すればどの場所に手榴弾があったとしても確実に爆発させる事が可能だ。


もう既にウォシュムガルムは超極大の光を放出してしまっている。

グラビティが何かをしているがギリギリ時間が足りない。


そして蓮は一つの決断を迫られた。


「クソッ…届くか分からないけどーーーやるしかねぇか!!」


空中で手榴弾をしっかり持つ。


そしてーーーー。


「入れぇぇぇぇぇぇええ!!」


叫びながら思いっきり手榴弾を放り投げた。手榴弾は真っ直ぐウォシュムガルムの口元へと飛ぶ。


ウォシュムガルムは口から極大の光を出しているわけでは無い。

口元にある超高エネルギーの光の弾からだ。


だから口内を爆破すれば少しは放出量が下がる…もしくは、あの白い光の弾をそのまま形成するのが不可能になると考えた訳だ。


(頼む!!入れ!!!)


投げた後は祈ることしか出来ない。

さっき投げた最大威力の手榴弾はアレ1つしか無い。通常の手榴弾より大きく重いアレは、普通の手榴弾に比べてあまり飛ばない。


なので本気で投げても届くかどうか五分五分だった。


しかしーーーーーーー。


(届いた!!)


届いた。口の中に入るのがハッキリ見えたのである。


「火種石……!!」


蓮はそのまま火種石の周りが燃えるように自分の本気の魔力を飛ばす。

火種石は魔力を供給すれば供給するほど炎の力が上がる故の行動である。


次の瞬間!!


ウォシュムガルムの口からドッゥン!!という音を聞いた。

手榴弾の爆発音である。


その瞬間、一瞬光が弱まった。


そしてグラビティの方を向くと彼は何か黒い物質を作り上げていた。


そして超極大の光と、グラビティの黒い物質が激突する。


「グッアァッ!!…なん…だ……こりゃ……」


激突により発生した凄まじい圧迫感に思わず声をあげる。全身が引き裂かれるような感覚だ。


そして次の瞬間ーーー。


シュゥゥゥゥ…………


消えた。超極大の光も。グラビティが作った黒い物質も。


そしてーーー。


「グラビティィィィィィイイイ!!」


(グラビティ)の姿も。


「グルァァァァァアアア!!!!」


ウォシュムガルムが咆哮を上げる。

次の瞬間ーーー。


「なんだ…これ!!」


ウォシュムガルムの周りに蒼い空間が創造される。


その範囲には蓮も含まれていて何故か落下しない。


「なんなんだよ…これ!!」


身体が浮かび上がる。

先程から訳の分からない事が起こりすぎている。グラビティが消えたことも。

あの黒い物質も。今自分に起こっている事も。


下を見ると瑠花が見えた。

泣きながら和正の肩を揺さぶっている。

恐らく自分も飛ばせと言っているのだろう。


(あれ……?だんだん意識が……)


そう考えているとなんだか頭がぼーっとしてきた。どういうことだろう。

目の前も薄くなってきている。


そして蓮は理解したーーー。


(あ……俺…死ぬのか……)


背後にはウォシュムガルムの姿が見えた。ゆったりと空中を泳いでいる。


それを見て蓮はーーー。


「あぁ……俺は…守れなかったな……。

"約束"。ゴメン………な……」


その呟きを最後に彼の意識は闇の中に沈んでいったのだった。

やっとオープニングに繋がりました。


(書くのに疲れた……)


というわけで次回からようやく本編です


(ここまで来るのが長過ぎですね)


ではまた次回


2014年10月19日。修正を加えました

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