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Carrying Happiness  作者: 遠藤 敦子
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「さあ、いよいよ文学フリマ大阪、開場です!」

 スタッフさんからアナウンスされ、会場内は拍手で包まれる。こうして文学フリマ大阪が開幕した。序盤は皆さんお目当てのブースに流れていくのか、あまり私のところには来られなかった。それなら呼び込みしてみようと、周りに迷惑にならない程度に

「恋愛小説と子ども向けの本あります。いかがですかー?」

 と言ってみる。呼び込みを聞いて私の作品を手に取る方がちらほら増えてきた。意外と絵本や児童文学の方が売れていく。手書きで一点ものであることに特別感があるのだろう。

 30代くらいの女性客が絵本と児童文学を4冊、そして小説を1冊買ってくれる。それから70代くらいの女性客が絵本を手に取り、

「これあなたが描いたの?」

 と私に聞く。

「そうなんです。表紙も本文も手書きで描いてまして」

 私が言うと、女性客は目を丸くしてこう言った。

「すごいわね〜」

 私はそう言われて悪い気はしなかったし、頑張って手書き作品を作って良かったと思った。


 小説はあまり売れなかったけれど、絵本や児童文学は思いのほか売れていく。閉幕30分前くらいに、20代の若い男性客が私のブースにやってきて絵本を手に取った。

「これってしおざきさんが書いたんですか?」

 彼は立ち読みしながら目を丸くしている。私がそうですと返すと、

「僕こういうの書けないんで……。すごいっすね。1つ買っていいですか?」

 と彼は絵本を購入してくれる。彼は大学生か社会人1〜2年目くらいで結婚しているようには見えなかった。若い成人男性が絵本を買ってくれたのが私にとっては意外だったのだ。

 こうして文学フリマ大阪は閉幕し、出店者による撤収作業が始まる。私は自分のブース周りの撤収をし、隣にいた男子大学生2人組に挨拶をして会場を後にした。初めての出店だけれど、まだまだ改善の余地はあるなと考える。帰りの電車で来年の文学フリマ京都のカテゴリーを「恋愛小説」から「絵本・児童文学」に変更した。絵本や児童文学の方が需要があることがわかり、それならば文学フリマ京都では絵本と児童文学に特化したブースにしようと考えたのだ。


 来年1月19日に開催される文学フリマ京都に向けて、着々と絵本や児童文学を作り始めた。一点もので特別感を出し、手書きで温かみを感じてもらえたらと思っている。小説を手に取る敷居を低くするため、1回300円のくじ引きも導入してみる。また正月ということで小説5冊700円の福袋も用意した。どれくらいお客さんが来るかと思うとわくわくする。

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