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Carrying Happiness  作者: 遠藤 敦子
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 結婚を考えていた彼氏との別れを機に、私は昔からの趣味であった小説を書くという行為に没頭するようになる。26年間生きてきて中学生から大学生時代までいろいろな作品をインターネット上に投稿してきたけれど、周りの友達には小説を書いていることは一切内緒にしてきた。書くという行為は大学時代ぶりなので、書けるかどうか不安なところもある。しかし久しぶりに書いてみるとやはり楽しく、私は書くことが好きなのだと実感する。

 そんな時、Xで文学フリマというイベントがあることを知る。文学フリマとは書き手が作った作品をお客様に売る即売会で、小説からエッセイまでたくさんの作品が販売されているという。私が住んでいる京都でも開催されたそうだけれど、今年は文学フリマ京都はもう終わってしまったので、9月8日の日曜日に行われる文学フリマ大阪と来年1月19日に開催される文学フリマ京都に申し込んでみる。大阪ならここから電車で行けるし、京都は私が住んでいる場所だからだ。恋愛小説を書いているので、カテゴリーは恋愛小説にした。サークル名や屋号は持っていなく個人での活動なので、本名である塩崎(しおざき)悠愛(ゆあ)をひらがな表記した「しおざきゆあ」と入力する。申し込みボタンを押し、抽選なしで参加確定してしまった。売れないと聞いていたけれど、果たしてどうなのかと私はドキドキする。


 文学フリマに出ると決めたからには作品を作らなければならない。印刷所を使っての製本も考えたけれど、まずはコンビニのコピー機を利用してのコピー本を作ることにした。小説投稿サイトに載せていた小説を7種類1冊ずつ製本し、児童文学と絵本は全て手書きで描く。手書きの方が温かみが伝わりやすく特別感もあるだろうと考えたからだ。無名の一般人が書いた本に需要はないような気がしたのと文学フリマには初参加であることを鑑みて、かなり少なめに用意した。

 敷布もポスターもなしの必要最小限のみで当日を迎える。仕事もしていてなかなかSNSを見る時間の確保ができず、Xでの告知は月に数回だけ行った。果たして売れるのだろうかと緊張してくる。私はそんな状態で電車に揺られ、京都市内から大阪の会場に向かった。コンビニで水とおにぎりとカフェオレを買い、設営を始める。左半分を小説コーナーにし、右半分を絵本と児童文学コーナーにした。しばらくして隣の方が来られたので、挨拶をする。隣の方は男子大学生2人で友達同士のような感じだった。私より4歳か5歳くらい年下のように見えたけれど、彼らは気さくに話してくれる。そんな彼らは東京から来たらしい。

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