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0話 プロローグ

20xx年

日本を取り巻く環境は悪化の一途を辿っていた。


少子高齢化、人口減少、経済の停滞、移民の増加とそれに伴う治安の悪化、国際情勢の緊迫化。

このような状況で日本政府は有効的な対策を打ち出すことができずにいた。

むしろ円安を止めることができず、賃上げも減税もできない現政権にはもはや誰も期待しなくなっていた。


そんな中、行われた任期満了に伴う衆議院選挙で与党民主自由党は結党以来最大の大敗北を喫し、政権与党の座を追われた。

新たに与党となったのはここ数年で突如台頭した新進気鋭の極右政党国守党だった。

彼らは「憲法を改正し、自衛を可能にする国家をつくる」、「米国依存から脱却し、日本独自の抑止力を構築する」という非常に明快な公約を打ち出し、不満の溜まっていた国民の支持を集め、見事単独与党の座についた。


国守党党首の桐島和俊は陸自の出身であり、かなりの強硬派として知られていた。選挙後の特別国会で首相に就任した桐島は所信表明演説で「我々は敗戦後の“思考停止”から脱する。戦後の70年は、確かに平和だった。だが、それは真の独立ではなかった。今こそ、主権国家としての誇りを取り戻す時であります」と述べ、新たな日本の誕生を宣言した。


桐島内閣がまず真っ先に取り組んだのがアメリカに依存しない自主防衛力の強化だった。

同年中に桐島内閣は自主防衛力強化五カ年計画を打ち出し、その目玉として、海洋国家日本を支える次世代型多目的汎用護衛艦の建造が計画された。


翌年の4月、防衛省会議室には桐島首相と武藤首相主席補佐官、安藤防衛大臣、石川海上幕僚長とその他関係者数名が集まっていた。議題は昨年計画が始まった次世代型多目的汎用護衛艦の設計についてだった。

アメリカや中国、ロシアと比較して資源も資金も乏しい日本には大量建造は難しい。

だからこそ新型護衛艦には一隻で5隻分の機能をもつ艦艇が要求されていた。


政府はこの艦を単なる護衛艦ではなく、「戦略的自立防衛力の象徴」、そして国家の威信と技術力を示すものとなることを望んでいた。

そんな中、とある海幕幹部が首相に質問した。

「この艦の名前は何と致しましょうか?」

この質問に桐島首相はこう答えた


「決まっているさ」

「やまと。それ以外にあるか?」


その場は静まり返った。

誰もがその名の重さを知っていた。

戦艦大和――日本の栄光と、悲劇の象徴。


静まり返った会議室で椛島首相はこう続けた。


「これは過去への回帰ではない。未来への継承だ。

我々がつくるのは、沈まぬ〈やまと〉だ。」と



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