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「月宮先輩、お願いですから下ろしてください!!」
俺の声は届いているはずなのに、月宮先輩はまるで聞こえていないかのように涼しい顔で、俺を楽々と運び続ける。
「ああ、もうっ!」
俺は諦めて、せめてすれ違う人に恥ずかしがっているこの顔だけは見られまいと、手で顔を覆い隠した。
「りおくんて、おひめさまだったんだねー」
「しらなかったー。でも、だからおうちのこと、いっぱいしてたんだね」
(ちっがーう! 俺はシンデレラでも、白雪姫でもない! ただの男子高校生だ! それに、王子様を待っているために、家事をしてたわけじゃないぞ!)
双子の会話は俺をさらにドッと疲れさせ、月宮先輩の運転手が目を見開いて俺たちの姿に驚いたことを気にする余裕さえ、もう俺には残されていなかった。
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