10-13
「あ、みてー。まだ、えいとおうじのおくるまあるよ?」
(えっ……)
抱っこしていた真央を下ろし、玲央の指差す方向に目を向けると、たしかに月宮先輩の車は、まださっきの場所から動いていなかった。
(どうして……)
「ぼくたちをまっててくれたのかなー?」
(そんなわけ……)
「あー! えいとおうじがいるよー」
今度は真央が指差す方向を見ると、保育園の正門で月宮先輩が俺たちに背を向けて立っていた。
俺は双子の手を握って急ぎ足で正門に向かい、門をカードキーで開けて月宮先輩に声をかけた。
「どうしたんですか、月宮先輩。なにか忘れ物でも?」
「私は帰るとは一言も言っていないぞ」
(……。いや、それは質問の答えになってないんだけど……)
俺はどうしたものかと溜め息をつくと、双子はじっと月宮先輩の顔を見上げる。
「もしかして、りおくんを待ってたの?」
「りおくん、おひめさまだったの?」
「はっ?」
急に何を言い出したのかと思った時にはもう遅く、双子はぴょんぴょん楽しそうに飛び跳ね始めた。
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