10-8
時間がギリギリでお迎えが一番最後になってしまったため、教室には双子と担任の先生一人だけだった。
「せんせい、れおくんおむかえきたよー」
「きたよー」
「あら、海棠さん。よかった。間に合わないかと思ってドキドキしちゃったわ」
教室の端に置かれた机に向かっていた先生が、連絡帳片手に急ぎ足で俺に駆け寄ってきた。
「先生、またギリギリになってすみません。玲央と真央、今日も元気でしたか?」
「とても元気でしたよ。はいこれ、連絡帳です。それにしても海棠さん、王子様ってなんのことか分かる?」
「えっ……」
「今さっき、二人ともお兄ちゃんが迎えに来たって園庭に飛び出しちゃったから、慌てて追いかけようとしたんだけど、すぐに戻ってきて王子様がいたーって言うから」
「へっ、へー……。きっと、通りすがりの人を見間違えたんじゃないですかね?」
俺は目を泳がせながら、しらばっくれることにした。
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