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10-3

 その姿はまるで、動物園で柵ごしに動物を見る時のようだった。


「しーっ、しーっ。こんなところで大声出さないの!」


 俺は慌ててメッシュフェンスに近づくと、大声で叫ぶ玲央と真央に向かって、口元に指を当て静かにするようジェスチャーする。


「ねー、ねー。どうして、おうじさまがここにいるの?」


「どこのくにのおうじさまー?」


 だが、俺のことを無視するように、双子は興奮気味に月宮先輩をキラキラした目で見つめ、必死に手を振っていた。


 俺のすぐ横に黙って立った月宮先輩を、双子は首を目一杯反らして見上げる。


 そんな双子の姿を見て、わざわざ目線を合わせるために、月宮先輩はその場にしゃがみこんでくれた。

「こんにちは、月宮瑛斗です」


「えいとおうじ?」


「えいとおうじ!」


 双子は顔を見合わせると、キャッキャッと声を出して楽しそうに笑いながら飛び跳ねた。


下記サイト(ネオページ)にて先行連載中

https://www.neopage.com/book/30066806720040200

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