74/178
10-3
その姿はまるで、動物園で柵ごしに動物を見る時のようだった。
「しーっ、しーっ。こんなところで大声出さないの!」
俺は慌ててメッシュフェンスに近づくと、大声で叫ぶ玲央と真央に向かって、口元に指を当て静かにするようジェスチャーする。
「ねー、ねー。どうして、おうじさまがここにいるの?」
「どこのくにのおうじさまー?」
だが、俺のことを無視するように、双子は興奮気味に月宮先輩をキラキラした目で見つめ、必死に手を振っていた。
俺のすぐ横に黙って立った月宮先輩を、双子は首を目一杯反らして見上げる。
そんな双子の姿を見て、わざわざ目線を合わせるために、月宮先輩はその場にしゃがみこんでくれた。
「こんにちは、月宮瑛斗です」
「えいとおうじ?」
「えいとおうじ!」
双子は顔を見合わせると、キャッキャッと声を出して楽しそうに笑いながら飛び跳ねた。
下記サイト(ネオページ)にて先行連載中
https://www.neopage.com/book/30066806720040200
!!スマホ対応済!!
登録不要 無料でお読みいただけます




