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本当はもう少し練習やレッスンに参加したい気持ちはあるが、俺の家庭環境がそれを許さない。
『泣かないで。すぐに戻ってくるから』
そう言って、当時中学生になったばかりの俺と、一つ下の弟の那央に笑って手を振った母さんは、双子の玲央と真央の出産時に帰らぬ人となってしまった。
母さんを心から愛していた父さんは一番ショックだったはずなのに、俺たちのために仕事に家事、そして双子の育児までこなしていた。
しかし、そんな無理はいつまでも続くはずもなく、父さんは去年とうとう身体を壊してしまって今も入院中だ。