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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

不確定意識の住人

作者: TOMY@

「おにぃちゃ〜ん!朝だよ〜!」

スヤスヤ寝ている俺の脇腹に容赦なくダイブしてくる。

「起〜きなきゃ遅刻しちゃうよ〜」

強引に揺らす。ただ、少女が持つ力では俺を起こすことができない。

「おにぃ寝てるの?」

うん、寝ている。

眠いから寝る。

寝たいから眠る。

目を閉じたまま無視をする。

「き、キスしちゃうからね!」

これもいつもの日課。兄というのは妹のキスで起きるものと相場が決まっている。

「ほ、本当にしちゃうからね?」

恥じらいから来るんだろう、不規則な呼吸、それに呼応するかのような火照り。

あまりにも性的すぎた。

顔を近づけてくる。

その時小さい唇と重なりあった。

世界の機構が変わる。

生も死も紙一重。

ただ、人間がその状態であるというだけ。

生にも意味はなく、死にも意味はない。

平凡な一個人が持つ人類史に与える影響なんていうものはたかが知れている。

与えようとも思わない。

そういうのは才能があり、欲がある人間が行うべきである。

俺にはそのどちらもない。

自分の見ている世界を他人も全く同じ物を見ていると誰が断言できるのだろう。

物体に光があたり反射して目に飛び込んでくる。

それを脳で処理してそこにあると見せているだけである。

余りにも不確実である。

処理しきれない膨大な情報が飛び込んできたら?

理解できない多次元の存在を認知できるのか?

問題は山積している。

人間は己が持つ由縁・アイデンティティによってその牢獄から抜け出すことはできない。

人類は人間社会に馴染むように進化してきた。

個人の能力は常に清算が行われる。

もし、個人によって清算が行われない場合は、人類は全体で清算か行われる。

生と死によって齎されるもの。

生から死。死から生。どちらも不可逆的である。

僕は思考を中断した。

それは、学校生活という余りにも閉鎖的なコミュニティに属するということに対しての嫌悪感から来る。脳を最低限度だけ活動させて時間の経過を待つ。

深呼吸を繰り返していればいつの間にか授業は終わる。

それを繰り返すだけの作業。意味はない。

僕は世界の裏側に干渉することができる。

見えている世界をそっとなぞるとその世界が現実の世界を侵食してくる。

僕はマチェーテで手首の指を一本ずつ落とされていく。

次は関節。最後に首。抵抗することも泣きわめくこともできない。

作業のように、儀式のように。首にマチェーテがあてがわれた。

丁寧に首の皮は剥がれ、骨は断ち切られた。思考を再開する。

僕はその執行人からマチェーテを奪い、頭を叩き割る。

頭が叩き割れたかなんていうのは外見からじゃ判断がつかない。

なので、頭皮がめくれ、頭蓋骨が露出するまで振り下ろす、フリオロス。

頭蓋骨が露出する。脳ミソが溢れ出る。僕はそれを掬って咀嚼した。

僕はただの生首であったことを思い出した。

ハエがたかり、眼球はカラスに食われてどこかにいった。

四肢はマチェーテによって切断され、皮が剥がれている。

ただ、死ぬのを待つ屍。人間からただの肉塊へと変化する。

僕は思考を停止させられた。

気づくと学校は終わっていた。

日は沈み、誰もいない。

時間を見ると丁度18:00。

尿意を覚えたので放尿してから帰ることにする。

「ん…んっ…」

甘美な声。

鼻をつんざく、性的な匂い。

どうやら女生徒がオナニーをしているようだ。

僕は心の中で憤怒した。

こういったパーソナルなことは家でやれと。

ただ、顔が気になる。

わざと学校のトイレでコトを行うというのは誘っているのではないか?

それも顔を見てみないことには判断をつけられない。

そっと男子便所女子便所の境目に背中を預け、右リーンで確認する。

すると、その女は確かに女ではあるがゴリラであった。

男勝りの屈強な肉体に引き締まった筋肉。

これは、メスゴリラである。

僕は恐怖した。

もし、見ているのがバレたら確実に殺される。

頭を掴んで片手で握りつぶす。

僕は相手を同じ人類だと思えなかった。

後ずさりして、僕は逃げることにする。

「ドン!」

何かが中庭に落ちた。

マズイ、メスゴリラが出てくる。

僕は男子便所に身を隠す。

「さっきの音は何かしらねぇ〜」

同感である。

「行ってみようかしら〜」

僕は息を殺して待つ。

じっと待つ。

体感で30分ぐらいは経過しただろう。

僕も中庭が気になるので向かうことにする。

男子便所から中庭までは階段を下り、靴を履き替え向かう。

向かう途中で鼻をつんざく強烈な刺激臭にであった。

また、微かに音が聞こえる。

例の音がなったと予想される場所まで来た。

僕はまた、建物に背を預け確認する。

「ぐっちゃぐっちゃ ちゅるちゅる」

まさに、地獄であった。メスゴリラが死体を貪り食っていた。

僕は射精した。


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