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竜王に拾われて魔法を極めた少年、追放を言い渡した家族の前でうっかり無双してしまう~兄上たちが僕の仲間を攻撃するなら、徹底的にやり返します〜  作者: こはるんるん
4章。王立魔法学校、開校

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60話。御用商人に回復薬を売って大儲けする

「カル・アルスター子爵様に、ごあいさつ申し上げます、ワン。」


 帽子を取って、礼儀正しく頭を下げたのは、僕の腰くらいの背丈の犬型獣人たちだった。

 彼らはイヌイヌ族といって、正直者であることで有名な種族だ。なにしろ、うれしいと無意識に尻尾を振ってしまうのだ。


「わざわざ離島までやって来てくださって、ありがとうございます。まずは、おかけください」


「ありがとうございますワン。海竜王を討伐した大英雄様にお会いできて光栄ですワン!」


 イヌイヌ族は尻尾を振りながら、目を輝かせている。

 どうもお世辞ではなく、本気で僕に好感を持ってくれているようだ。


 彼らには竜騎士ローグの紹介で、御用商人になってもらうために来てもらった。元々、ヴァルム家と取り引きしていた商人みたいだ。


「それで買い取っていただきたいのは、海産物の他にこの新型回復薬です。【再生竜水(ヒールドラゴンウォーター)】と名付けました」


 僕が瓶に詰めた【再生竜水(ヒールドラゴンウォーター)】をテーブルに置くと、イヌイヌ族たちは興味深そうに、見つめた。

 ネーミングは魔法名そのまんまだ。


「新型回復薬のお噂はうかがっておりますワン。エクスポーションを超える効果だとか……それで、これをいかほどで売っていただけますのかワン?」


「まずは100本ほど、無料サンプルとしてお渡しします。実際に使ってみていただいて、本格的な取引はそれからですね」


 僕の言葉を聞いたイヌイヌ族は、目を丸くした。


「えっ!? これ全部、無料ですかワン!?」


「この新型回復薬の効能を、大勢の人に知ってもらうのが第一歩ですから。

 次回から、エクスポーションよりやや高い、一本、5000ゴールドほどでお取り引きできればと考えています」


 エクスポーションの相場がひとつ約3000ゴールドなので、妥当なところだろう。


 あまり安くすると、回復薬の市場を破壊したとして、エクスポーションの販売元である教会から睨まれる危険がある。

 エクスポーションのような強力な回復魔法を封入した回復薬は、教会が作製方法を独占していた。


「えっ、5000ゴールド!? そんなにお安くて良いんですかワン!?」


「もし、噂通り失われた手足すら再生する効能があるとしたら、一本10万ゴールドでも買いたいと、お客さんが殺到するハズですワン!?」


「アルスター子爵様は、無欲過ぎますワン!?」


 イヌイヌ族は騒然となった。

 えっ? 僕として、妥当な値段設定のつもりだったのだけど……


「正直に申し上げますワン! ボクたちとしましては、一本、8万ゴールドで買い取らせていただきますので、他の商人には売らないという専属契約を結んで欲しいのですワン!」


「はぁ!?」


 8万ゴールドとは、想定していた値段の16倍だ。

 この回復薬は僕が魔法で、ぱっぱと作ったものだ。水を入れた瓶に魔法をかけて、おしまい。

 ひとつ作るのに1秒もかかっていない。


「さすがに、そんなに高く買い取っていたただくのは悪いというか……5000ゴールドで十分ですよ?」


「いいえ、アルスター子爵様! 他の商人に権利を奪われる前に、ぜひ僕たちとの1本8万ゴールドでの独占販売契約を、書面で交わして欲しいですワン! お願いですワン!」


 イヌイヌ族たちは、なんと床に土下座して頼み込んだ。


「その前に、サンプルでの効能テストとかは必要ないんですか!?」


「こちらですでに裏付は取っていますワン! カル様は王室直轄領で、この回復薬を使って村人を救われましたワン! 不覚にも感動してしまいましたワン!」


「悠長なことをしていたら、他のライバルに、この金の成る木が取られてしまいますワン! ビジネスは速度とタイミングが命ですワン!」


 イヌイヌ族に必死の形相で見つめられて、僕はタジタジになってしまった。

 うーん……


「そ、それじゃ、1本1万ゴールドで、あなた方と専属販売契約を結ぶということで」


 100本作るのに30分もかからない。それで100本売れたら、100万ゴールドというのは、いくら何でも破格だと思う。


「ひゃあぁあああっ! あ、ありがとうございますワン! それでは月に100本の【再生竜水(ヒールドラゴンウォーター)】を卸していただくということで、よろしくお願いしまいますワン!」


 おおっ……毎月、確実に100万ゴールドが手に入る収入源をたやすく確保できてしまった。

 今後の領地経営に大きなプラスになったな。


「くふふっ! やったワン! ボロ儲けは確実だワン!」


「アルスター子爵様の御用商人になれたことを神様に感謝だワン! ボクたちは勝ち組人生、まっしぐらだワン!」


「お礼に今後はカル様のために、ボクたちの商人としての力を最大限、お貸しいたしますワン! イヌイヌ族は世界中に同胞のネットワークがございますワン! 情報でも物資でも、なんでもお申し付けくださいませワン!」


 イヌイヌ族たちは、目をキラキラと輝かせ、尻尾をブンブンと振った。

 彼らに喜んでもらえて良かった。

 僕にとってはメリットだらけで、申し訳ないけれど……


「そうだ。実は海水浴場もオープンしたんで、みなさんも遊んで行きませんか? 飲食物を売る屋台なんかも、今後、出店しようと思っているんです」


「海水浴場!? もしかしてさらなるビジネスチャンス!? よろしくお願いしますワン!」


 イヌイヌ族は尻尾を振って、一斉に腰を折った。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 水竜のポーションの価格が安すぎると他のポーションが売れなくなるのがわかってない。 安い方が問題になるのでは? ただ傷が治るのではなく部位欠損が治るなんて他の物語の神の薬やエリクサーがそ…
[一言] これは流石に頭が悪すぎるのでは… 作成期間が如何に短ろうとその技術を手に入れるための労力が眼中に無さすぎる それにどう転んでも独占市場に上位互換の商品を流して目をつけられないわけないやろ …
[気になる点] 価格破壊で失業者出すのは勿論のこと、8分の1の価格とか異常なほど商売下手すぎるし、領地発展や領民のことを全然考えられていない。 結果的に運良く良い方に転ぶんだろうけど、無脳に違いない。…
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