12話 人助け2
「……っ!」
こみ上げる吐き気をなんとか押し戻す。
さっきまでふかふかのベッドで寝ていたはずなのに今は地面に投げ出されていた。
そんなことを気にする余裕もないくらい気分が悪い。
寝不足で起きたときのように頭がクラクラする。
「これって……」
もしかして俺、魔法使った?
寝ぼけていてよく分からないがもしそうだったら嬉しいようなそうでないような……。
こんな状態になってしまうならあまり使いたくはない。
「おい誰だお前!」
「え?」
怒声のする方を向けばそこには粗野な男達が何人もいた。
「たすけてください!」
「なに!?」
そして足元では小さな子供が俺の服を掴んでいた。
もうなにがなにやら……
「これってどういう状況?」
「急に現れてなにほざいてやがる!」
「さっさとこいつやっちまおうぜ!」
「ちょ、ちょっと待って!話し合いましょう!」
ってそう言えばアルウは!?
今にも殴りかかってきそうな男達を前にアルウが思い浮かぶのはなんとも情けない。
だが俺ではどうしようもない……。
「覚悟しろよ!」
「!?」
殴りかかられる寸前でまたしても魔法陣が現れる。
俺は一瞬で元の部屋に戻っていた。
「アルウ?……がやったの?」
目の前には粗野な男ではなく、蒼鱗の竜人様がいた。
アルウはこくりと頷く。
「助かった……」
「お兄さんありがとう!竜使様だったんだね!」
ずっと服を掴んでいた子供はどうやら一緒に転移してきたらしい。
ひとまず一件落着……?